エンジン警告灯(チェックランプ)が点灯する原因と対処方法
トラブル症状
走行中にメーターパネル内でエンジンの形を表した黄色のエンジン警告灯(チェックランプ)が点灯することがあります。メーター内のチェックランプは色ごとに危険度が異なり、赤色は至急運転をやめて修理の必要がある深刻なものです。黄色(オレンジ)は赤色ほど深刻ではないが修理が必要なもの(主にエンジン制御系)と、警告灯の色は国際規格(ISO)によって定められています。エンジン警告灯は黄色(オレンジ)に該当します。
エンジン警告灯はセンサーの故障などによって点灯するケースが多く、吸入空気の温度や量、排気ガス中の酸素濃度などが把握できず、エンジンに最適な空燃比が計算できなくなるため出力の低下や燃費の悪化を招きます。また、イグニッションコイルの故障を放置すると、未燃焼ガス(生ガス)が触媒に送られることとなり触媒やエンジンを痛める原因となります。
考えられる原因と故障診断
① O2センサーの故障
原因
排気ガスに含まれる酸素量を検知し、最適な空燃比を割り出すデータの1つです。このセンサーが壊れるとフェイルセーフ機能が働き、最低限のエンジン機能を維持するため設定された燃料の噴射量に固定されてしまいます。そのため、適切な空燃比を保てずに燃費の悪化につながります。
診断方法
診断ツールを使用し、O2センサーの数値(リッチ・リーン信号)をモニターして判断したり、エラーの有無によって判断します。
修理・改善方法
O2センサーの交換によって改善しますが、O2センサーはエキゾーストマニホールドや触媒の近くに取り付けられており、熱や錆びによって固着しているケースが多く、特に年数の経過した車両や雪が多い地域、海沿いで使用することが多い車両では交換時にひと手間かかるケースが多くなります。
② エアフロメーターの故障
原因
吸入空気量を検知し、最適な空燃比を割り出すデータの1つです。このセンサーが壊れるとフェイルセーフ機能が働き、吸入空気に合わせた噴射量の計算を停止し、定量での計算になってしまいます。そのため、適切な空燃比を保てずに燃費の悪化につながります。
診断方法
診断ツールを接続してエアフロメーターの数値の変化をモニターします。また、車種やエアフロメーターによっては、エアフロメーターを取り外して息を吹きかけるなど空気を通過させた際の抵抗値変化などから単体点検できるものも存在します。
修理・診断方法
エアフロメーターの交換によって改善します。エアフロメーターはエアクリーナーボックス近辺やスロットルバルブ周辺に取り付けられている事が多く、交換も容易に行えるものが多い傾向にあります。
③ アクセルセンサーの故障
原因
アクセルの踏み込み量を検知するセンサーです。アクセルの踏み込み値に異常が発生している可能性があります。アクセルの踏み込み量によってスロットルバルブの開度を決めていますので、アクセル開度が正しく読めない場合は走行に支障をきたす可能性があります。
診断方法
診断ツールを使用し、アクセルを踏み込んだ際のアクセルセンサーの数値変化をモニターします。
修理・改善方法
アクセルセンサーの交換によって改善します。アクセルセンサーはアクセルペダルと連動するように取り付けられており、交換時に基準点(ニュートラル状態)の調整を行ったり、初期学習が必要なケースがあります。
④ イグニッションコイルの故障
原因
イグニッションコイルは点火プラグに火花を飛ばすための高電圧を作り出す装置です。バッテリー電圧である12Vから、点火に必要な数万ボルトまで昇圧しますが、12V側の回路(一次側)の断線や故障を検出すると警告灯が点灯します。イグニッションコイルが故障すると点火プラグが火花を飛ばす事ができずに故障した気筒は失火状態となり、燃焼していない未燃焼ガスがそのまま排気される事になりますが、高温となった触媒を通過する際に燃焼してしまい、触媒を痛めます。溶けたり砕けたりした触媒が詰まると排気不良となって出力の低下をまねくだけでなく、エンジン側に逆流すると破片が燃焼室内に侵入して傷つけてダメージを与えてしまうケースもあります。
診断方法
診断ツールを使用してパワーバランステストを実施したり、点火プラグを取り外した状態で火花が飛ぶか診断することでも判断が可能です。※引火しないよう燃料を停止する措置が必要。
修理・改善方法
イグニッションコイルの交換によって改善します。イグニッションコイルによっては、個別にID登録がされており、交換時にECUに書き込む必要がある場合がありますので注意が必要です。