エンジン温度警告灯(冷却水温警告灯)が点灯・点滅している原因と対処方法

エンジン温度警告灯(冷却水温警告灯)が点灯・点滅している原因と対処方法

トラブル症状

エンジン温度警告灯(冷却水温警告灯)には、エンジンが冷えている状態を表す青や緑のマークと、オーバーヒート状態を表す赤いマーク(オーバーヒート警告灯・高水温警告灯)があります。これらの警告灯の点灯パターンによって、エンジンの状態や必要な対処が異なります。また、青や緑の警告灯は異常を知らせる警告ではないため、表示灯と呼ばれることもあります。

青や緑の水温警告灯:低水温警告灯(表示灯)とも呼ばれ、エンジン始動直後に点灯し、暖気が終わると消えるのは正常な動作です。特に冬場や寒冷地では、消灯までに数分~十分程度かかることがありますが、これも正常な状態です。エンジンの適温は80度から90度程度とされていますが、始動直後はエンジンが冷えた状態のため、暖気が必要というお知らせとして点灯します。一般的に水温が40度から60度まで上昇すると消灯するよう設定されています。

赤い警告灯:高水温警告灯・オーバーヒート警告灯とも呼ばれ、エンジンがオーバーヒートを起こしていることを警告しています。この場合、すぐに車を安全な位置に停止し、ボンネットを開けてエンジンルームを冷却する必要があります。ファンが回っていなかったり、冷却水が無くなっている場合は、エンジンを止めてください。冷却水が入っていて、ファンも回っている場合は、エンジンをかけたままファンによる冷却をうながします。

青や緑の警告灯が数分間点灯の後消えるのは正常ですが、赤い警告灯の点灯や、青・緑の警告灯が消灯しない、または消灯に時間がかかりすぎる場合は、故障の可能性があるため点検が必要です。

中村 武央 監修者
整備士 / テクニカルディレクター
中村 武央

兵庫県 猪名川町在住 1972年生まれ

2005年ラリージャパンではチーフメカニックとして活躍。プジョー、シトロエン、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなど、様々な欧州車メーカーの車両を数千台以上担当し、幅広い知識と技術を持つ。10代からクルマに興味を持ち、工業系大学卒業後、大手チューニングショップを経て1999年にYMワークスに入社。 …続きを読む

考えられる原因と故障診断

【青や緑の警告灯が消えない場合】

水温センサー配線の断線

原因

水温センサーにはサーミスタという温度によって抵抗値が変わる物質が使用されることが多く、温度が高くなると抵抗値は低く、温度が低くなると抵抗値が高くなるという特徴があります。ECUからサーミスタまでの配線が断線すると、電気が流せない状態となり、ECUは水温が低いと判断して警告灯が点灯したままになります。

診断方法

まず、診断ツールで水温をモニターし、異常な低温(-273度など)が確認できるかチェックします。次に、水温センサーを取り外し、配線間の抵抗値を測定しながらお湯などに浸けます。抵抗値が変化すれば水温センサーは正常と判断でき、ECUから水温センサー間の配線の断線を疑います。

修理・改善方法

断線している箇所を探し出して接続します。車体と擦れている箇所や、コネクターの端子部などを重点的に確認しましょう。

水温センサーの故障

原因

水温センサーまでの配線やECUが正常な場合、水温センサー本体の故障が考えられます。特性値のずれや、内部断線を起こしている可能性があります。

診断方法

診断ツールで水温をモニターし、異常な低温(-273度など)が確認できるかチェックします。その後、水温センサーを取り外し、配線間の抵抗値を測定しながらお湯などに浸けます。抵抗値が変化しなければ水温センサーの故障が考えられます。

修理・改善方法

水温センサーの交換によって改善します。

【青や緑の警告灯が消えるまで長い時間がかかる場合】

① サーモスタットの故障

原因

サーモスタットは、冷却水温が低い時はラジエーターをバイパスさせ、水温が高くなるとラジエーターを経由させて冷却を促す働きがあります。このサーモスタットが故障して、水温が低い時にもラジエーターを経由させてしまうと、水温がなかなか高くならずに暖気まで時間がかかってしまいます。なお、このトラブル発生時は冬場になかなか暖房が効かないという症状を併発します。

診断方法

エンジンを数分暖気し、ラジエータに繋がるアッパーホースとロアホースの温度を確認します。サーモスタットが正常であれば、アッパーホースとロアホースには明確な温度差が生じますが、両方とも冷たいまま(ぬるいまま)の場合にはサーモスタットが開きっぱなしになっている可能性が高くなります。さらに、サーモスタットを取り外して目視すると、水路が開いたままになっているのが確認できるはずです。

修理・改善方法

サーモスタットの交換によって改善します。

【赤い警告灯が点灯する場合】

冷却水不足によるオーバーヒート

原因

漏れなどによって冷却水が不足し、冷却水路内にエアが混入してしまうと、圧力を上げることができずに冷却水が沸騰してしまいます。冷却水が沸騰して気泡が発生すると、冷却効率が著しく低下してオーバーヒートの原因となります。

診断方法

リザーブタンクの水量を確認します。さらに、エンジンを十分冷却してからラジエターキャップを開けて水量を確認します。注意:絶対にエンジンが暖まった状態でラジエターキャップは開けないでください。熱湯が吹き出し火傷の原因となります。

修理・改善方法

長期間補水していなかった場合は自然な蒸発による減少の可能性もありますが、たびたび補水が必要になるようであれば冷却水の漏れを疑います。蒸発による減少であれば、補水することで改善します。漏れがある場合はラジエター本体やラジエターホースなどの原因箇所の交換が必要です。

サーモスタットの故障

原因

サーモスタットは、冷却水温が低い時はラジエーターをバイパスさせ、水温が高くなるとラジエーターを経由させて冷却を促す働きがあります。このサーモスタットが故障して、水温が高くなってもラジエーターへの水路を開くことができずに冷却水の温度を下げられなくなってしまい、オーバーヒートの原因となります。

診断方法

エンジンを十分に暖気し、ラジエータに繋がるアッパーホースとロアホースの温度を確認します。サーモスタットが正常であれば、アッパーホースとロアホースは両方とも熱くなっているはずですが、どちらかが冷たいまま(ぬるい)の場合にはサーモスタットが作動していない可能性が高くなります。また、サーモスタットを取り外して熱湯に浸け、作動するかを確認する手段も有効です。

修理・改善方法

サーモスタットの交換によって改善します。

水温センサー配線のショート

原因

水温センサーにはサーミスタという温度によって抵抗値が変わる物質が使用されることが多く、温度が高くなると抵抗値は低く、温度が低くなると抵抗値が高くなるという特徴があります。ECUからサーミスタまでの配線がショート(短絡)してしまうと、電気を流すのに抵抗が少ない状態となり、ECUは水温が非常に高いと判断してオーバーヒート警告灯が点灯したままとなります。

診断方法

エンジンを冷やした状態で診断ツールにて水温をモニターし、異常な高温(130度など)が確認できるかチェックします。次に、水温センサーを取り外し、抵抗値を測定しながらお湯などに浸けます。抵抗値が変化すれば水温センサーは正常と判断できるため、ECUから水温センサー間の配線のショートが考えられます。

修理・改善方法

ショートしている箇所を探し出して修理します。車体と擦れている箇所や、コネクターの端子部などを重点的に確認しましょう。

水温センサーの故障

原因

水温センサーまでの配線やECUが正常な場合は、水温センサー本体の故障が考えられます。特性値のずれや、内部ショート(短絡)を起こしている可能性があります。

診断方法

エンジンが冷えている状態で診断ツールで水温をモニターします。異常な高温が確認できたら、水温センサーを取り外して配線間の抵抗値を計測します。抵抗値が著しく低いようであればセンサーの故障が考えられます。

修理・改善方法

水温センサーの交換によって改善します。

ウォーターポンプの故障

原因

ウォーターポンプは冷却水を循環させる役割があるため、このポンプが故障すると冷却水の循環が行われずにオーバーヒートを誘発します。また、駆動用のベルトが切れた際も同様のトラブルが発生します。

診断方法

駆動用のベルトを取り外し、ポンププーリーを手で回して確認します。引っ掛かりや異音、異常に重いなどの症状がある場合はポンプの故障が考えられます。

修理・改善方法

ウォーターポンプの交換によって改善しますが、タイミングベルト駆動の場合にはタイミングベルトの同時交換も推奨されます。

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