トラブル症状
バルブカバーガスケットは、メーカーによってヘッドカバーガスケット、タペットカバーガスケットなど呼称が異なることがあります。
バルブカバーガスケットからのオイル漏れの場合、基本的にはエンジンの上部からのオイル漏れとなるため、日常のメンテナンス時にエンジンにオイルがこぼれたような茶色や黒いシミによって気が付くケースが多くなります。ただし、オイルの漏れ出す量が多い場合はエンジン下部やオイルパンにまでオイルが到達して、駐車場の路面にオイルが垂れて発見されることもあります。
エンジンの形状や漏れ出たオイルが通る経路にもよりますが、駐車場など長時間停車する路面をオイルで汚してしまうだけでなく、プラグホールに侵入すると失火など点火系統の不具合を誘発します。また、漏れ出したオイルが高温となった排気用マニホールドやエキゾーストパイプに付着すると、付着したオイルが発火して車両火災に至るケースもあるため注意が必要です。
考えられる原因と故障診断
① バルブカバーガスケットの劣化
原因
厚みのあるゴムでできているバルブカバーガスケットは、熱や長時間の使用による経年劣化によって徐々に硬化していきます。固くなったゴムは割れやすく、ひび割れや細かい傷などが入った箇所からポロポロと崩れるように破損していきます。エンジン内部を潤滑するためのオイルが外部に流出しないように抑えるガスケットですので、崩れたり隙間ができた箇所からオイルが外部に滲み出し、オイル漏れの原因となります。
診断方法
バルブカバーガスケットの劣化具合は診断するのが難しく、年数が経過した車両などのバルブタイミング調整などバルブカバーを取り外す作業を伴う場合は、基本的に同時交換となります。ガスケットからの漏れや滲みが無いかは目視にて確認が必要ですが、特にV型エンジンなどは見えづらい位置がありますので、車両をリフトアップして入念に確認する必要があります。
修理・改善方法
バルブカバーガスケットからのオイル漏れは、ガスケットの交換によって改善します。エンジンの一番上のカバーを取り外せば交換が可能なため比較的交換しやすいパーツですが、車種によっては座席シートを取り外す必要があったり、V型エンジンなどの場合はエンジン自体の脱着が必要になるケースもあります。この作業は専門の知識と設備を持つ整備工場で行うことをお勧めします。