ハンドルが重い・回らない原因と対処法
トラブル症状
ハンドルを切ろうと動かしても回らなくなってしまったり、パワステが効かず「重ステ」状態となっている状態です。パワーステアリング機構によるアシストがない状態では、極端にハンドル操作が重くなるため、ハンドルが回らないと感じる場合があります。
故障によってハンドルが重くなるものや、ハンドルロックなどの正常な機能によってハンドルが動かなくなるもの、雪や石などの異物が噛みこんでハンドル操作ができなくなっているものなど、様々なケースが考えられます。そのため、タイヤやタイヤハウスの確認も必要となります。また、パワーステアリングには電動式と油圧式があり、電動式のパワステに異常が起きると警告灯が点灯する場合が多くなります。
考えられる原因と故障診断
① ハンドルロックがかかっている（電動式・油圧式共通）
原因
ほとんどの車にはキーが差し込まれていない状態でハンドル操作をすると、ハンドルをロックする「ハンドルロック」と呼ばれる機構があります。これは車両の盗難を防ぐ装置で、キーなしでエンジンをかけてもハンドルがロックされて運転できない状態を作り出します。乗車時に意図せずハンドルを動かしてしまい、ハンドルロックがかかってしまうとハンドルが動かなくなってしまいます。
診断方法
ハンドルロックがかかってしまうと、ハンドルが動かなくなります。ハンドルを左右に動かそうとすると、ガタガタとストッパーに当たったような操作感となります。
修理・改善方法
ハンドルを少し左右に動かしながらキー操作を行うことでロックが解除されます。
② タイヤがパンクしている/空気圧が不足している（電動式・油圧式共通）
原因
フロントタイヤのパンクや空気圧の不足が原因でタイヤの抵抗が著しく増加すると、ハンドル操作時の抵抗が増加するためハンドルが回らなくなったと感じる場合があります。特に据え切り時に重く感じるようになります。
診断方法
エアゲージでタイヤの空気圧を確認します。
修理・改善方法
空気圧の不足が原因の場合は調整で改善しますが、突然ハンドルが重くなったと感じる場合ではパンクの可能性が高く、パンク修理やタイヤ交換が必要となります。
③ タイヤハウスに雪や石などの異物が詰まった（電動式・油圧式共通）
原因
タイヤとタイヤハウスなどのボディの間に異物が挟まるとタイヤを動かすことができなくなり、結果的にハンドルが回らなくなります。雪道の走行やオフロード走行時には注意が必要です。特に雪道の走行時には定期的にタイヤハウスの雪を除去する必要があります。
診断方法
タイヤとタイヤハウスを確認し、異物が挟まっていないか点検します。
修理・改善方法
異物を取り除くことで改善します。異物によってブレーキホースが傷ついていないかも確認しましょう。
④ パワステポンプの不具合（油圧式）
原因
パワステポンプが故障して油圧を作り出せなくなっていたり、パワステポンプを駆動するためのベルトが切れてしまうなどの理由により油圧が発生せず重ステ状態となっている可能性があります。
診断方法
駆動用ベルトの取り付けを確認し、ポンプ回転時の異音がないかなどを確認します。
修理・改善方法
ベルトが切れている場合にはベルトの交換を行い、ポンプ自体に不具合が見られる場合にはポンプASSYの交換が必要となります。
⑤ パワステフルードの漏れ（油圧式）
原因
パワステ用のフルード（オイル）が漏れてオイル量が足りなくなると、油圧を作り出すことができずにハンドルが重くなります。
診断方法
オイル漏れの形跡を探したり、リザーブタンクのオイル量を確認します。
修理・改善方法
オイル漏れの原因となる箇所を修理し、オイルを補充することで改善します。
⑥ コントロールバルブ、ギヤユニットの故障（油圧式）
原因
油路を切り替えるためのコントロールバルブが故障して油路が切り替えられずにハンドルが重くなったり、最終的にタイヤ（ナックル）を動かすために稼働するギヤユニットが故障してハンドルが重くなる（ハンドルが切れなくなることも）場合があります。
診断方法
コントロールバルブやギヤユニットの故障診断は難しく、消去法で原因箇所の特定をしていく必要があります。
修理・改善方法
故障の内容によって処置は異なりますが、基本的にはASSYでの部品交換となる場合が多くなります。
⑦ ヒューズの断線（電気式）
原因
電動のパワーステアリングはヒューズが切れて電気が流せなくなると動作することができず、重ステ状態となってしまいます。
診断方法
ヒューズが切れていないかを目視にて確認します。ヒューズが切れている場合は原因となる異常があることが多いため、原因の追究が必要となります。ただし、パワーステアリングの場合は据え切りの多用など過負荷状態になるとヒューズが溶断する場合もあります。警告灯の点灯を伴う場合が多くなります。
修理・改善方法
ヒューズ切れの原因を取り除き、ヒューズの交換をします。
⑧ モーター、センサー類の故障（電気式）
原因
ステアリングのアシスト力を作り出すモーターが故障してステアリングが重くなっていたり、ハンドルの操作量を検知するセンサーが故障することでコンピューターへの入力値が異常となって、出力が正しく出ずにステアリングが重くなる場合があります。
診断方法
診断ツールを使用してエラーや数値のモニターをしたり、モーターの場合は分解して内部の焼けなどを確認することが必要になります。警告灯の点灯を伴う場合がほとんどです。
修理・改善方法
モーターの交換やセンサーの交換によって改善します。
⑨ コントローラーの故障（電気式）
原因
センサーからの入力値をもとにモーターの出力を決めるコントローラーユニットが故障すると、正しく機能せずハンドルが重たくなります。
診断方法
診断ツールを接続してエラーや数値の確認を行い、総合的に判断します。警告灯の点灯を伴う場合が多くなります。
修理・改善方法
コントローラーの交換によって改善します。
