(出典:FIAT)
2023年6月15日、フィアットはFIAT Panda 4×4の誕生40周年を記念して、「FIAT Panda 4×40°」の発売を発表しました。欧州限定の発売となり、イタリア・フランス・ドイツ・スイスの4か国にて販売。FIAT Panda 4×4生誕の年である1983年にちなんで、1983台が製造されます。
FIAT Panda 4×4は、発売された以来、コンパクトさが売りのPandaなでも走破性に優れており、世界中で愛される人気の4WD。未舗装道路などにおける走行性の高さから、日本でもコアなファンを獲得しています。
「FIAT Panda 4×40°」は、そんなFIAT Panda 4×4を特別仕様にしたモデル。今回は、「FIAT Panda 4×40°」の魅力に迫ります!FIAT Panda 4×4ファンの方や欧州車好きの方は、ぜひご覧ください。
フィアットパンダ4×4の歴史
FIAT Panda 4×4は、世界初となる横置きFWDベースの4WDとして、初代Panda が発売された3年後の1983年にデビュー。サイズや燃費制限がありながら、悪路での高い走破性を誇っており、アウトドア派を中心に支持を得ました。1983年のデビューより、およそ80万台を販売しています。
「FIAT Panda 4×40°」の魅力を知るためにも、まずはFIAT Panda 4×4の歴史を振り返っていきましょう。
初代フィアットパンダ4×4
FIAT Pandaが発表されたのは1980年当時、オイルショックなどの影響により、フィアット社は経営状況が急速に悪化していました。そこで社内再編とともに、「プロジェクト・ゼロ」と名付けられた新型車開発を進めます。
このプロジェクトは、「安価・コンパクト・十分な室内空間の確保」が主なコンセプト。フィアットから依頼を受けたデザインの鬼才、ジョルジェット・ジウジアーロ氏がデザインを手掛け、完成したのが初代FIAT Pandaです。その3年後の1983年に、四輪駆動モデルの初代FIAT Panda 4×4がデビューします。
FIAT Panda 4×4は、オーストリアの自動車メーカーSteyr-Daimler-Puch(シュタイアー・ダイムラー・プフ)社と共同開発。現在では珍しい、パートタイム式4WDが採用されました。パートタイム式4WDは、SUZUKIジムニーなどに採用されており、シンプルな構造ながら抜群の走破性を誇るのが特徴。初代FIAT Panda 4×4は近年でも中古市場で取引されていますが、ハッチバックタイプの4WDは珍しく、すぐに買手が見つかるほどの人気です。
二代目フィアットパンダ4×4
2003年になると、FIAT Pandaは二代目にモデルチェンジ。二代目FIAT Pandaは、MPVとして開発が進められたこともあり、ミニバン的な立ち位置。車名問題などがあったものの、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、2004年に日本へ輸入が開始されました。
二代目FIAT Pandaには、1.2L直列4気筒SOHCエンジンを搭載。2007年になると、1.4L 直列4気筒 DOHCエンジン を搭載した、スポーティーモデル「100HP」が追加されました。
一方で4WDモデルとしては、2005年に「4×4Climbing(クライミング)」を発売。駆動方式には、ビスカスカップリングをもつトルクスプリット式のフルタイム4WDを採用しました。ブレーキやサスペンション、バンパーなどは専用の部品が使用され、4WDらしい走破性を実現しています。
三代目フィアットパンダ4×4
三代目FIAT Pandaは、2011年にフランクフルト・モーターショーにて発表され、販売が開始されました。デザインは二代目のキープコンセプトとなっている一方で、室内空間を拡大。車内はサイズアップされたものの、全高は抑えられ、パワーパーキングにも駐車できるサイズとなりました。
プラットフォームは、FIAT500やランチアのイプシロンと共用。エンジンは多様に用意され、直列4気筒1.2Lガソリンや直列4気筒1.3Lディーゼルをはじめ、直列2気筒0.9Lツインエアも設定されました。
その1年後の2012年、パリ・サロンで4×4の追加が発表。日本ではタスカングリーン160台、アイスホワイト120台、イタリアンレッド60台の計340台限定で、213年より販売が開始されました。
日本仕様の三代目Panda 4×4は、0.9Lツインエアを搭載した「Easy」と6速MTの組み合わせのみ。右ハンドル限定で販売されましたが、平行輸入業者により、左ハンドル車やディーゼルも少数ながら日本で出回っています。また、2014年には、シティブレーキコントロールが装着されたタイプも、日本で発売されました。
なお、三代目Panda 4×4からは、度々特別仕様車を発売しています。特別仕様車の詳細をみてみましょう。
Panda 4×4 Foresta(パンダ・フォーバイフォー・フォレスタ)
2018年、フィアットを傘下とする持株会社FCAジャパンが、「Panda 4×4 Foresta(フォーバイフォー・フォレスタ)」の発売を発表。2018年7月14日より、全国にあるフィアットの正規ディーラーを通じて、日本では限定100台が販売されました。
Panda 4×4 Forestaは、イタリア語で「森林」を意味しているサブネームが採用されており、連想させる通りの性能。4×4の走破性ならではの走破性とスタイリッシュなデザインが両立されており、自然だけでなく、都会でも走りを楽しめます。
そもそもPandaは、コンパクトでありながら、5人も乗車できる高い居住性を備えた車。Panda 4×4 Forestaは、そのPandaがもつ特長に、4×4システムと6速MTの組み合わせがプラスされており、個性的な仕上がりとなっています。
エクステリアも、専用使用。スキッドプレートが追加された専用のバンパーをはじめ、専用の15 インチアルミホイールなどが装備されており、スモールSUVらしさを演出しています。
また、ボディカラーは、シリーズ初となる「シネマ・ブラック」と4×4の専用色となる「トスカーナ・グリーン」の2色。車内はグリーンを基調としたインストルメントパネルや、ダークグレー×グレーのシートなど、シックな室内空間となっています。
Panda 4×4 Italiana(パンダ・フォーバイフォー・イタリアーナ)
「Panda 4×4 Italiana(フォーバイフォー・イタリアーナ)」は、2018年に日本で150台限定として発売されたモデル。フィアットの2気筒ツインエア・エンジンと6速MTの組み合わせにより、さまざまなシーンでドライビングを楽しめる仕様です。
4輪駆動システムには、ELD(電子式ディファレンシャルロック)を採用しており、タイヤの空転を抑制。オンロードではコンパクトカーならではの軽快な走りを実現する一方、オフロードでは安定した走行が確保されています。
また、ボディカラーは車名でもあり、イタリアを連想させる「トスカーナ・グリーン」「アイス・ホワイト」「アモーレ・レッド」の3種類。内装もボディカラーに応じて異なり、トスカーナ・グリーンとアイス・ホワイトには、グレーのインストルメントパネルとダークグレー/グリーンのシートを採用しています。アモーレ・レッドのボディカラーは、レッド/グレーのシートを装備。ボディカラーによって、差別化が図られています。
そのほか、Panda 4×4専用の15インチアルミホイール、フロントとリアには専用バンパーを装備するなど、特別な世界観が演出されています。
Panda Cross 4×4(パンダ・クロス・フォーバイフォー)
「Panda Cross 4×4(パンダ・クロス・フォーバイフォー)」は、専用の内外装デザインと高い走破性が特徴です。2021年より、日本では215台限定で販売が開始されました。Panda Cross 4×4は、Pandaの共住性や積載性に、SUVの走破性とデザインを付加したモデルです。
パワートレインは、ベース車と同じく、875ccの直列2気筒マルチエアですが、専用の6速MTと四輪駆動システムの組み合わせによって、高い走破性を実現。オフロード走行のドライブモードを搭載しており、悪路も安心して走行できます。また、ヒルディセントコントロール機能では、急な坂道を一定の速度で下れるように自動制御。安全性を高めています。
エクステリアは、専用デザインで4WDのタフさを表現。フロント・リアバンパーとサイドモール、15インチアルミホイールは専用デザインとなっており、力強さを演出しています。加えて天井部には専用ルーフレールが装備されており、よりクロスオーバーらしい印象。標準モデルと比べて、若干ボディサイズが拡大されています。
なお、ボディカラーは、標準モデルには設定のない「モード・グレー」が基調。ライト周りやバンパー、サイドモールにはブラックを配色しています。
Panda Street 4×4(パンダ・ストリート・フォーバイフォー)
Panda Street 4×4(パンダ・ストリート・フォーバイフォー)も、Panda4×4の特別仕様モデルです。2022年より、日本では160台限定で販売が開始されました。
Panda Street 4×4は、高い走破性と爽快な運転性が特徴。路面状況を問わず、安定した走りを実現しています。また、Pandaの特徴ともいえる居住性や積載性も確保されているなど、歴代Pandaのノウハウも詰め込まれています。
もちろん、装備も標準モデルとは異なる仕様。専用のバンパー・フェンダーアーチ・ルーフレール・15インチのスチールホイールは、落ち着いたデザインながらも、4WDならではのタフさを演出しています。ボディカラーには、専用のダークセラミック・グレーを採用。アウトドアのみならず、日常のさまざまなシーンに溶け込みます。
インテリアには、ヒーテッド・フロントガラスやフルオートエアコンを装備、前席はシートヒーターとなっており、寒い日でも快適にドライブできます。加えてセンターコンソール収納、電子式ディファレンシャルロックなどの特別装備も搭載。リアプライバシーガラスやリアパーキングセンサーも備えおり、セキュリティや安全性も確保されています。
フィアットパンダ4×40°の魅力
FIAT Panda 4×40°は、Panda Cross 4×4をベースとしています。詳細については、順次発表されていく予定です。パワートレインは、マイルドハイブリッドが採用されるとみられています。
マイルドハイブリットは、ハイブリットのなかでも、モーターの出力が低めのシステム。
フィアットが開発したマイルドハイブリットは、独自開発の「FireFly」エンジンとBSG・電気モーター・リチウムイオンバッテリーを組み合わせています。
「FireFly」エンジンは、1.0L直列3気筒のガソリン仕様となっており、最大出力70hp/6000rpm、最大トルク9.4kgm/3500rpmというスペック。このエンジンにBSGシステムが直接取り付けられており、補助装置はベルトによって駆動します。このBSGによって、ブレーキや減速中のエネルギーを回収し、リチウムイオンバッテリーに電力蓄える仕組みです。蓄えられた電力は、最大で3.6kWの出力を発揮。加速時などにエンジンをアシストします。
また、フィアットのマイルドハイブリットには、コースティング機能が付いており、車速が30km/h以下になるとエンジンからの駆動力が切断。燃費の向上に寄与します。FIAT Panda 4×40°にマイルドハイブリットが搭載された場合、同じような性能に期待できます。
【FIAT Panda 4×40°基本スペック】
幅×長さ×高さ | 1,882 mm× 3,705 mm×1,615 mm |
カラー | ソリッド・アイボリー |
主な装備 | フロントフォグライト/ DRL LEDリアパーキングセンサーラジオ付き 7インチDAB (タッチスクリーン)オートエアコン高さ調整機能付きシートヒーター付き電動ドアミラー夕暮れ・雨センサー |
欧州販売価格 | 23,900 ユーロ |
出典 | fiat panda 4×40°公式サイト |
そのほか、FIAT Panda 4×40°には、40周年にふさわしいさまざまな専用装備を採用。以下では、その一部をご紹介します。
専用にデザインされた外装
FIAT Panda 4×40°のボディカラーは、専用にチョイスされたソリッド・アイボリーです。赤い牽引フック・黒いルーフレール・プライバシーガラスなど、特別なディテールも装備されています。
専用のロゴが入ったサイドモール
サイドモールは、ボディと同色のソリッド・アイボリーカラー。加えてサイドモール上には、「4×40°」の赤いロゴが配置されています。
ピラーには専用ステッカーとバッジを装飾
Bピラーには、「4×40°」の専用バッジを装飾。リアウィンドウ横には、初代Pandaと現行Pandaのシルエットが描かれたステッカーが貼られており、特別感を演出しています。
パンダスタイルを踏襲した15インチのホイール
15インチスチールホイールは、ホワイト塗装。カスタムされたブラックのセンターキャップには、「Panda」の文字が入っており、存在感をアピールしています。
美しいインテリアも魅力
内装もボディカラーと同じく、ソリッド・アイボリーが基調。統一感のあるデザインが、落ち着いた空間を演出しています。そのほか、車内も40周年ならではの特別な仕様が取り入れられています。
シートも専用ロゴ入り
シートはリサイクル生地で作られおり、ダブルステッチと赤のアクセントが特徴。フロントシートには、初代と現行モデルのシルエットとともに、Panda生誕の年と40周年にちなんで、「1983」と「2023」の文字があしらわれています。ドライバーズシートは、高さ調整機能付きとなっており、ベストな位置に調整が可能です。
スタイリッシュなデザインのレザーハンドル
ハンドルとシフトレバーは、レザーを採用。高級感のあるデザインです。ハンドルは、スッキリとしたシルエットなので、走行中でもメーター類が確認しやすくなっています。
見やすい次世代のインフォテイメント
インフォテイメントには、7インチのタッチスクリーンを採用。「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応しているので、携帯電話を接続して音楽を楽しめます。
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Fiat Panda4×4は、Pandaの魅力4WDの走破性を兼ね備えたコンパクト4WDです。欧州だけでなく、国内でもコアなファンを獲得。2023年には、本記事でご紹介した「FIAT Panda 4×40°」の販売が発表されました。
「FIAT Panda 4×40°」は、欧州限定の販売となりますが、フィアットには魅力的なコンパクトカーがまだまだあります。フィアットに興味をお持ちの方は、ぜひ一度「YMワークス」にお問い合わせください。
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