2024年11月、新型フォルクスワーゲン T7 カリフォルニアの右ハンドル 英国仕様が発表されました。キング オブ キャンパーとも称され、日本でも大人気となった前モデルのT6/T6.1からどのように進化したのか?今回の記事では、新型T7 カリフォルニアの魅力や特徴を詳しくご紹介します。
フォルクスワーゲン カリフォルニアとは?
フォルクスワーゲン カリフォルニアは、メーカーであるフォルクスワーゲンが自社で設計・製造を手掛ける珍しい純正キャンピングカーです。カリフォルニアの最大の特徴は、「走るだけではなく、泊まれる」こと。ベッドとしても機能するポップアップルーフ、車内ベッドやキッチン、収納スペースなど、アウトドアライフを快適にする装備が充実しており、家族旅行から一人旅、あるいは移動オフィスとして、幅広い用途で活躍できる一台です。
歴代モデルは高いデザイン性や機能性はもとより、フォルクスワーゲンならではの走行性能・信頼性が高く評価され、世界中で人気を博してきました。特に先代モデルであるT6/T6.1 カリフォルニアは高い完成度を誇り、キング オブ キャンパーとも呼ばれるまでに進化しました。今回登場したT7 カリフォルニアはその後継モデルで、英国仕様ではオーシャン(Ocean)、コースト(Coast)、ビーチキャンパー(Bearch Camper)の3グレード構成で販売されました。
フォルクスワーゲン キャンパーの歴史~ウェストファリアとの協業から自社製造へ
簡単にフォルクスワーゲンのキャンピングモデルの歴史についてご紹介しておきましょう。
1950年代から1980年代にかけて、フォルクスワーゲンは「ウェストファリア」という外部の架装メーカーと連携してキャンピングカーを生産していました。特にT1(タイプ2)バスをベースにした「ウェストファリア」は、シンプルながら実用的なキャンピングカーとして、キャンプカルチャーの象徴的存在となりました。以降、T4モデルに至るまでウェストファリアはフォルクスワーゲンのパートナーとして数多のキャンピングカーを製作してきました。
1990年代後半、ウェストファリアの経営悪化に端を発したダイムラー(現メルセデス)グループによる買収・子会社化以降、フォルクスワーゲンはキャンピングカーの自社開発を開始します。2003年に「カリフォルニア」の名を冠したT4モデルを発表、同時にこれはウェストファリアが関与した最後のモデルになりました。以降、世界的にも珍しい、メーカ自身の手によるキャンピングカーとして「カリフォルニア」はT5から現在のT7に至るまで進化を続けています。純正ならではの品質管理やユーザー目線の設計、ベッドやキッチンはもちろん、車体各部に巧みに収納されたテーブルやチェア、ブラインドを装備し、他のキャンパーとは一線を画したブランドに成長。シリーズで20万台以上が生産されています。
新型T7 カリフォルニアの特徴は?どこが変わった?
先代のT6/T6.1、特にオーシャンはそのパッケージング、充実した装備で現在でもキャンパーの完成形の一つと称されました。新型T7ももちろん、充実したキャンパー装備をはじめその多くを継承し、時代に合わせた進化を遂げています。大きなトピックは以下のようなものでしょう。
新型T7 カリフォルニアのトピック
- 英国仕様右ハンドル車の展開はオーシャン、コースト、ビーチキャンパーの3グレード
- シャープで端正なスタイルから滑らかな曲線を多用したフォルムに
- ロングホイールベース仕様がベースになり車体・室内が大型化
- 乗用仕様モジュラー式プラットフォーム「MQB」を採用し、操縦性・乗り味が上質化
- 左右スライドドアを採用した3ルームコンセプトで利便性向上
- 完全新設計のサイドキッチンユニットを搭載
- ビーチキャンパーにも車体後部に簡易キッチンを搭載
- 専用アプリにより、様々な操作が可能
この辺りを踏まえて新型T7 カリフォルニアをオーシャンを中心に見ていきましょう。なお、掲載画像には一部、2023年夏に発表されたコンセプトモデルや左ハンドルモデルのものが含まれています。実際の販売車両や英国仕様右ハンドルモデルとは異なる場合がありますのでご承知おきください。
新型T7 カリフォルニア オーシャン
スタイリングとエクステリア
端正でシャープなイメージのT6/T6.1に比べ、曲面を多用した滑らかな外観になりました。これはベースとなったカラベル/マルチバンを含め、今後のアイデンティティとなるEV、iD Buzzの影響を色濃く受けたのでしょう。ライト類(デイタイムランニングライトは標準)もすべてLED化されました。オーシャンでは先進のLED マトリックス ヘッドライトとスモーク処理された LED テールライトが標準装備されています。
標準色はキャンディホワイト。単色はメタリック8色、パール1色。T6/T6.1で好評だった2トーンカラーは3色。ルーフカラーをパールブラックにすることもでき、計20パターンから選択できます。特にボディの塗分けの境界は、待望の左右スライドドアの開閉によっても破綻することなく、各部の仕上がりと相まって非常に高い質感を保っています。
標準ホイールはオーシャンが18インチ、コーストが17インチ、ビーチキャンパーが16インチとなっており、19インチやブラック調のものも選べます。
車体
新型T7 カリフォルニアのプラットフォームはこれまでの商用仕様と決別し、乗用仕様のマルチバン/カラベルと同様にモジュラー式プラットフォーム「MQB(Modular Transverse Matrix)」を採用しています。MQBは2012年に発表されたFF(とFFベースの4WD)のための基本車体構成概念のようなもので、主要コンポーネント部分を一本化し、その他の部分はホイールベースを含め、柔軟な可変対応を可能にしました。フォルクスワーゲン(グループ)の乗用車の多くに採用され、現在は進化版「MQB Evo」となっています。
国内では堅牢な商用仕様でなくなったことに対して懸念する声もあるようですが、より上質な乗り味となっているようで、海外のコンセプトモデル試乗記でも歓迎する意見が多いようです。最大のライバルである「メルセデス マルコポーロ」が乗り味に磨きをかけてきている以上、乗用プラットフォームへの移行は必須事項だったのではないでしょうか。
ボディはロングホイールベース仕様となり、サイズは全長5,173mm×全幅1,941mm×全高1,972mm、ホイールベースは3,124mm。全長は約27cm長く、幅は約4cm広くなりました。高さは立体駐車場の利用を考慮し2mを切っています。これは前述のマルコポーロとほぼ同じであり、昨年まで販売されていたトヨタ グランエースの5,300mmよりは小さいものの、アジア圏で販売されるハイエースにも近いサイズです。5.2m級のミニバンは海外で増加傾向にあります。確かに都市部の路地等での取り回しを考えるとネガティブな要素ですが、車内空間の拡大や乗り味の質感向上を含め、猛追するライバル車への対抗策とも受け取れます。
搭載エンジン
T7 カリフォルニアのパワーユニットはガソリン、ディーゼル、1機種づづの設定です。標準仕様はディーゼル、コーストとオーシャンではガソリンエンジンの選択が可能です。トランスミッションは全車7DSGの前輪駆動となっています。なお、1.4L e-Hybrid プラグインハイブリッドは近日中に追加が予定されています。電動での走行可能距離は約50kmと予想されています。
- ディーゼル:2.0L 水冷直列4気筒ターボ TDI(150ps@3000rpm/36.7kgm@1600-2750rpm)
- ガソリン:2.0L 水冷直列4気筒ターボ TSI(204ps@6000rpm/32.6kgm@1400-2500rpm)
- PHEV :1.4L 水冷直列4気筒 TSI+モーター(システム出力245ps)
全輪駆動の4Motionは1.4L e-Hybrid プラグインハイブリッドのみに設定されます。
ハンドリング・足回り
海外試乗記を見る限りでは、やはり乗用車的な乗り味はかなり好意的に受け取られているようです。特に前輪の接地性が向上し、路面からのインフォメーションも増加した、という感想も多いことから、快適で疲労の少ない運転が可能になっていると思われます。
商用車ベースの前モデルT6/T6.1でもドイツ生まれのフォルクスワーゲン車らしい「グランドツアラー」たる資質を持ったハンドリング・足回りであると感じていましたが、T7を体験してしまうと、「やや不躾で洗練されていない」「前輪の接地性がイマイチ」「乗用車というよりはバン」という印象が拭い切れないようで、複数の試乗記で似たような記述が散見されました。
目には見えない部分ですが、乗用版MQBプラットフォームの採用はT7カリフォルニアのプレミアム性を大きく高めることに成功しているといえそうです。
インテリア
新型T7カリフォルニア はインテリアも確実に進化しています。後述する多機能LCDを用いたデジタルコクピット プロの採用ををはじめ、インパネやドアトリムの質感・精度はフォルクスワーゲンの上位モデルに通じるもの。特にオーシャンではシートに2トーンのカバー、キッチンユニット周辺の外装もコーストより上級なものが採用されています。
機能的にも細部に至るまで入念に設計されています。運転席と助手席は回転対座式(どちらも高さ調節と最大 180 度の回転が可能、オーシャンはヒーター付)であり、折りたたみテーブルと合わせ、十分なダイニングスペースやモバイルオフィスの作業スペースが確保されています。電動パーキングブレーキの採用により前席間の余裕ができシートの操作性も向上しました。
後席の 2 つのシートは独自レールシステムにより個々に移動や取り外しができます。様々なシートアレンジが可能で、サーフボードやスキー、自転車等の大型長尺物の積載も容易にしています。また、後席には就寝機能と一体型の引き出しがあり、より柔軟な荷物の積載と利便性・快適性が確保されています。
オーシャンには30色の調光可能な温白色アンビエントライトが標準装着されます。ライトはルーフライニングの周囲を巡り、リラックスした心地よい雰囲気を演出できます。アンビエントライトは、Cピラーの中央コントロール パネルの他、カリフォルニアアプリでも制御できます。
コックピット
デジタル コックピット プロと多機能ステアリングホイール
新型T7カリフォルニアには、デジタル コックピット プロと呼ばれる多機能LCDインパネが標準装備されています。より高いリフレッシュ レート、明るさの向上、より鮮明なコントラストに加え、さまざまな追加機能があります。オーシャンにはDiscover Proナビゲーションシステムが標準装備されているので、大きなナビゲーションマップを表示することもできます。
すべてのカリフォルニアモデルには、パドル シフト付きの革製多機能ステアリング ホイールが付属しています。オーシャンには快適なヒーター機能も標準装備。オーディオ、ナビ、スマホ、クルーズコントロールはすべて、ステアリングホイールのボタンで操作できます。
インパネ中央には25.4 cm (10インチ) のカラー タッチ ディスプレイがあります。インストールされているReady 2 Discover インフォテインメントシステムは最先端のシステムで、オーディオ、音声制御をはじめとする様々な車両機能を制御できます。もちろん、Apple CarPlay または Android Autoにも対応し、App-Connect により、音楽、オーディオブック、ニュースなどのさまざまなスマートフォン アプリやコンテンツを車内で利用できるようになります。高品質8スピーカーは最適なサウンドを提供します。
インフォテインメントシステムはVW Connect による定期的な無線アップデートにより、ソフトウェアは最新の状態に保たれます(日本国内でどこまで対応できるかは不明。)
充実したキャンパー装備
左右スライドドアによる3ルームコンセプト
新型T7 カリフォルニアには、2 つのスライドサイドドアが標準装備されました。キャビンには左右どちらからも出入りや通過ができるようになり、日常生活での利便性が大幅に向上しています。
右側のスライドドアの開口部はほぼ全面開放され、快適で簡単な乗り降りが可能です。追加された左側のスライドドアは、オーシャンとコーストでは開口部の約半分がサイドキッチンユニットのアクセス効率を高める(次項参照)ために占拠されてしまいますが、乗降スペースは十分確保されています。日本や英国等の左側通行の国では、何よりお子様を歩道側から乗降させることができるようになったのは歓迎すべき要素でしょう。なお、サイドキッチンユニットのないビーチキャンパーでは、左側スライドドアの開口部もほぼ完全開放され、より快適で簡単な乗り降り、通過ができます。
左右にスライドドアが標準装備されたことにより、新型T7 カリフォルニアは、キャンプサイトに車内と左右のテント・オーニングエリアという3ルームコンセプトを提供します。標準装備のオーニング(左右いずれかを選べる)に追加オプション(以下OP表記)のテントを使用して、1 つの広いキャンプ エリアを作れます。左側をキャンパーの調理、食事スペースとし、右側を子供部屋や屋外リビングとして使用するのもよいでしょう。
完全新設計のキッチンユニット
オーシャンとコーストに標準装備のガスコンロ(1口)、シンク、クーラー ボックスを含むサイドキッチンユニットは完全に再設計され利便性が大幅に向上しています。特に、クーラー ボックスへの荷物の積み下ろしに際しては、左側スライドドアと相まって車内はもちろん、側面には車外からもアクセス可能になったことは大きな進化です。加えて折り畳み式の作業台・簡易テーブルも複数追加されており、標準装備の230V電源やサイドオーニングを併用すれば、軽い雨天時でも快適な調理や食事スペースを確保することができます。
なお、ガスコンロは従来の2口タイプから1口タイプに変更されましたが、これは本格的な調理をあまりしない、というお客様の声を反映したことによるものだそうです。
ビーチキャンパーには、車体後部に引き出し型のガスコンロを備えた実用的な簡易キッチンが標準装備されています。開いたテールゲートの下で利用するため、雨天時にも保護されます。
就寝関連装備|ベッドと遮光シェード
ベッドは2つ展開できます。まず実用的で象徴的なのが、ポップアップルーフベッド(2,050mm x 1, 140mm)です。新型T7 カリフォルニアでは、スプリングプレートが付属し、軽量アルミニウムルーフシェルと3層ベローズ(3色から選択可、OP)で構成されています。標準装備のフロント開口部と広いサイドウィンドウからパノラマビューを楽しめます。コーストとオーシャンではルーフベッドの電動開閉でき、Cピラーのコントロールパネル、インフォテインメントシステム、またはスマートフォンの カリフォルニアアプリから操作できます。
後部シートをフラット化し、マットレスを展開すれば50mm長くなった下層ベッド(1,980mm x 1,060mm)を利用できます。サイドキッチンユニットの分、やや手狭になりますが大人2名の就寝は問題ないでしょう。サイドキッチンユニットのないビーチキャンパーではダブルサイズに近い下層ベッド(1,980mm x 1,330mm)が使えます。
T6/T6.1カリフォルニアでお客様からの評判が良かった装備が各ウィンドウにワンタッチで展開できるピラー等に内臓されたウィンドウスクリーン(シェード)です。新型T7 カリフォルニアには65%遮光のプライバシーガラスがリアやサイドに採用され、プライバシーの保護機能を持っていますが、各ウィンドウには専用の遮光式シェードも標準で用意されており、簡単な操作でスクリーンを展開、就寝時等の車内のプライバシーを保護できます。
リアサイドウィンドウのシェードには取り外し可能な収納ポケットが追加され、スライドドアとトランクリッドには一体型のローラーブラインド、フロントサイドウィンドウにはマグネットシェード、フロントガラスシェードは一体式となったもの採用されています。新設計のフロントガラスシェードはコーストはサーマルシェード、オーシャンでは断熱シェードにアップグレードされています。
前述の折り畳みチェアーやテーブルの収納もそうですが、設計時から関与できる「メーカー製キャンパー」の面目躍如といったところでしょう。
ちょっと肌寒いときの就寝を快適にする、補助ヒーターも人気の装備です。
豊富な収納スペース
新型T7 カリフォルニアには各部に工夫された収納スペースが設けられています。
キッチンユニット内にはカトラリーや小物を収容するスペースがあり、ユニット後方には、食器等を置ける扉付きの棚もあります。独立した後部座席の下には個々に大型の引き出しも用意されています。右側のリアサイドウィンドウの遮光シェードにはタオルや簡易な衣類等が収納できるポケットも設けられました。さらにオーシャンではテールゲート上部に航空機スタイルの大型ラゲッジボックスも備わります。
巧みに収納された折り畳みチェアーとテーブル
写真のような状態を整えるのに特別なものは何も必要ありません。新型T7 カリフォルニア オーシャンでは、全てが標準装備であり車内に巧みに収納されています。
サイドオーニングを展開し、折り畳みチェアーとテーブルをセットするだけ。チェアーは従来通りテールゲートの内側に、テーブルはトランク仕切りの裏側に収納されています。従来、テーブルは右スライドドア内側に収納されていましたが、利便性を考え、T7 カリフォルニアではトランク内に移されています。細かな点ではチェアーの背もたれが少し高くなり快適性が増していることもポイントでしょう。そして、これらは強度を保ちつつも非常に軽量であり、フォルクスワーゲン品質の仕上がりを持っています。
シャワーは車外からの接続に対応
従来、テールゲートを開けて使用していたシャワーは、車体左側後部からの外部接続も可能になりました。ちょっとした泥を落としたい場合等に効果的です。駆動はサブバッテリーで行われ、給水タンクは5L増量されています。
カリフォルニアアプリやキャンピングカーコントロールパネルがもたらすスマートキャンプ
新型T7カリフォルニアではデジタル化されたインテリジェントなアシスタントシステムにより、実用的で様々な操作が行えます。
電動ポップアップルーフの開閉(オーシャンとコースト)、客室用エアコンユニット、補助ヒーターによる室内暖房、アンビエントライトコントロール(ルーフライニング全体、オーシャンのみ)、その他多くの機能はすべて、カリフォルニアアプリ、インパネ中央のインフォテインメントディスプレイ、および C ピラーに統合された12.7 cm(5 インチ) 縦型タッチディスプレイのキャンピングカーコントロールパネルの 3 つから簡単にアクセスできます。
USBポートはタイプCをインパネに2個、車内に4個、計6個(45W)備えています。
安全装備と運転支援機能
新型T7 カリフォルニアは、 25 を超える安全装備・運転支援システムを搭載し、前モデルよりもさらに快適になりました。
※日本国内での動作・使用を保証するものではありません。
主な運転支援システム・安全装備
- 運転席および助手席用エアバッグ、サイドエアバッグとカーテンエアバッグ
- フロントセンターエアバッグ、後部座席の外側シート⽤カーテンエアバッグ
- 盗難防⽌アラームと電子イモビライザー
- アダプティブクルーズコントロール
- シティエマージェンシーブレーキ(歩行者対応、自動緊急ブレーキ)
- 車線逸脱警報レーンキープアシスト
- ブラインド(死角)車両警告機能
- 交通標識認識機能(日本国内での動作は不明)
- タイヤ空気圧モニタ
- ハイビームアシスト
- 自動雨滴感知式ワイパー(4段間欠制御)
- パーキングアシスト機能(次項参照)
パーキングアシスト
新型T7 カリフォルニアのコーストとオーシャンでは、センサーによるフロントとリアのパーキングアシストが標準装備されています。駐車スペースに車を停めるときに、車両の前または後ろに障害物が検出されると、警告音が鳴ります。障害物までの距離もディスプレイに表示されます。この装備にはリア ビュー カメラも含まれており、インフォテインメントシステムのディスプレイに車両後方の状況を表示することで駐車や後退を容易にします。併設されるダイナミックガイドラインは、ステアリングホイールの角度を表示することで駐車操作を支援します。
OPのアドバンスドパーキングパッケージを選択しておけば、より容易で確実な駐車スペースへの位置取りがサポートされます。リバースギアを入れると、車両が自動的にステアリングを制御し、ドライバーはアクセル、ブレーキを操作するだけです。
※この項については公式サイトとカタログの装備表に差異があるため、詳細を調査中です。
新型T7 カリフォルニア オーシャン 2.0L TDI スペック&価格
全長×全幅×全高 | 5,173×1,941×1,972mm |
ホイールベース | 3,124mm |
車両重量 | 2,850kg |
エンジン | 水冷直列4気筒 2.0L ターボディーゼル |
最高出力/最大トルク | 150ps/360Nm |
ミッション/駆動方式 | 7DSG(デュアルクラッチトランスミッション)/前輪駆動 |
タイヤ/ホイール | 235/50R18/7.5Jx18 |
燃料タンク容量 | 70L |
乗車定員/就寝定員 | 4名/4名 |
最高速度/0-100km加速 | 188km/h/- |
参考燃費 | 11.0km/L |
英国販売価格 | £77,476 |
フォルクスワーゲン T7 カリフォルニア オーシャン
2.0L TDI 7DSG
税込 22,500,000円
◎日本国内乗り出し価格(大阪店頭引き渡し価格。ヨーロッパのディーラーより回送費用、神戸港までの帆走費用、積降のデバン費用、国内での通関費用、車検に纏わる整備費用、登録諸費用等が含まれます)
新型T7 カリフォルニア コースト|実をとるなら侮れない充実装備
オーシャンに次ぐ上位モデルがコーストです。よく見てみると侮れない充実した装備になっており、これで十分、と思われる方も少なくないかもしれません。
電動ポップアップルーフ、3ゾーンエアコン、キッチンユニットは素材や色に差はあるもののほぼオーシャンと同じものが標準装備。大きな違いはホイールが17インチ、Discover ProナビシステムがOP、シートやフロア等の色や素材。他にもいくつかありますが、ボディカラーを含め、OPで選択可能なものがほとんどです。後付けできないのはアンビエントライト位でしょうか。
英国仕様での価格差は約£7,000。
新型T7 カリフォルニア ビーチキャンパー|唯一の5シーター、簡易キッチンで魅力アップ
ボトムレンジに位置するビーチですが、オーシャンやコーストとはやや立ち位置が異なるグレードです。唯一の5シーターモデルであり、サイドの車内キッチンが無い分、幅広い下層ベット(1,980mm x 1,330mm)が使用できます。就寝定員は4名になっていますが、小さなお子様が加わる位なら5名就寝も可能そうです。ポップアップルーフは手動です。
最大のトピックは車体後部に簡易ながらスライド式のキッチンユニットが与えられたこと。湯沸かしや簡単な調理ができ、温かい食事を容易に提供できるようになったのは大きなポイントでしょう。なお、前席シートは回転対座に対応しており、後席中央シートを畳めばテーブルとして使用可能。車内をリビングとして使えます。
食事を外食やバーベキュー、お手持ちのアウトドア用品で楽しまれるのであれば、より多人数で移動や就寝が可能なビーチキャンパーが、現在の日本のキャンプ事情に最も適しているかもしれません。
ドイツ本国仕様は5モデル展開
ドイツ本国仕様では、基本モデルのビーチで3種類の仕様が選択可能になっています。オーシャンとコーストは英国仕様とほぼ同じです。
- ビーチ(Beach):6名乗車、2名就寝。手動式のポップアップルーフを備え、基本的なキャンピング機能を提供します。
- ビーチツアー(Beach Tour):5名乗車、4名就寝。ビーチの装備に加え、運転席と助手席の高さ調整可能な回転シート、キャンピングバッテリー、折りたたみ式テーブルと椅子、各種電源ソケット、ポップアップルーフ内の照明、左右のスライドウィンドウなどが追加されています。
- ビーチキャンパー(Beach Camper):5名乗車、4名就寝。ビーチツアーの装備に加え、ガスコンロを備えたミニキッチン、外部電源接続を備えます。
- コースト(Coast):4名乗車、4名就寝。ビーチキャンパーの装備に加え、左側に設置されたキッチン(ガスコンロ、シンク、引き出し式冷蔵庫)、外付けテーブル、230V電源ソケット、追加のキャンピングバッテリー、右後方の収納ポケットなどが装備されています。
- オーシャン(Ocean):4名乗車、4名就寝。コーストの装備に加え、ルーフ収納ボックス、クライマトロニック(自動空調)、エアスタンドヒーターなどの高級装備が追加されています。
どのモデルが買いか?
先代T6/T6.1では高出力ディーゼル(204ps/199ps)エンジンを搭載した全輪駆動4Motionのオーシャンでキマリ、でした。実際、YMワークスでもこの仕様が圧倒的に支持されています。新型T7 カリフォルニアの場合は非常に悩ましいところです。というのも、何をどこまで求めるのか?という、ユーザーの要求の多様化に合わせて各グレード個々に魅力があるからです。
- 下層ベッドが広く就寝性に優れ、簡易ながらキッチンが搭載されたビーチキャンパー
- 一部オプションの追加で先代T6/T6.1 オーシャン並の装備となるコースト
- 装備充実、後悔の少ない最上級のオーシャン
ご自身の求めるものが明確になっていているなら、ビーチキャンパーを選択した方が満足感が高い場合もありますし、オーシャンの装備がやや過剰と思えるなら、コーストにいくつかのオプションを付加すればよいと思います。
降雪地域等で4Motionが必須、であれば今少し「待ち」になるでしょう。待ちの間に仕様を詰めておく、というのもアリです。
最終的には、1.4L e-Hybrid プラグインハイブリッド のオーシャン 4Motion がイチオシになってくるかと思います。全天候性で路面状態を選ばず、モーターによる低速時のアシストがあり、システム合計出力は245ps。高速巡航も余裕があるほか使用可能な電化製品の幅も広がります。
あえて、今、推しを挙げるならディーゼルエンジン搭載のオーシャンでしょうか。フル装備なので後に不満が出にくいですし、燃費と低速トルクを考えるとディーゼルにやや分があると思います。
魅力的なライバルモデル
ご紹介してきたようにさらなる磨きをかけてきて高い完成度を誇る「フォルクスワーゲン T7 カリフォルニア」ですが、欧州では商品力を高めた魅力的なライバルモデルもあります。中核となる5-5.2m級モデルいくつかを簡単にご紹介しておきましょう。
メルセデス・ベンツ V300d マルコポーロ(Mercedes-Benz V300d Marco Polo)
カリフォルニアの最大のライバルがメルセデス・ベンツ マルコポーロです。Vクラスロングホイールベース仕様に老舗ウェストファリアがキャンパー架装を施したモデルで電動ポップアップルーフ、キッチンといった、カリフォルニアに近い装備を持ちます。基本構造は従来型を継承しつつも、2024モデルからはハイパワー版2.0L 直列4気筒ターボディーゼルエンジン(236PS/51.0Kgm)に9ATの組み合わせに一本化、MBUX システム、自動水平調整エアサスといった近代装備も与えられています。マルコポーロ最大の特徴であり強みは「メルセデスである」ことでしょう。車体・インテリア・乗り味の上質感は完璧を目指すメルセデスの哲学に則っており、それだけでこのクルマを選ぶ理由になり得ます。
フォード トランジット カスタム ナゲット(Ford Transit Custom Nugett)
トランジット カスタムをベースにしたキャンパーがトランジット カスタム ナゲットです。2024年から新型に切り替わりました。架装はウェストファリアが担当、装備もカリフォルニアと同レベルのものが与えられています。特徴的なのはL字型のキッチンユニットを車体後部に配置、下層ベッドをやや前方にすることで、ベッドを展開したままキッチンが使用できることでしょうか。エンジンは2.0L 直列4気筒ターボディーゼル(170ps/390Nm)に8ATを搭載しています。233psのPHEV、全輪駆動モデル、ロング版のナゲット プラスの選択も可能。
ルノー トラフィック パラダイス VX-e(RENAULT Traffic Paradise VX-e)
ルノー トラフィック パッセンジャーをベースに、サセックスキャンパー(Sussex Campervans)が架装を施したモデル。基本的な仕様では電動ポップアップルーフ、キッチン等、カリフォルニアと同等レベルの装備を持つことに加え、トイレをオプション設定する等、カスタム仕様の幅が広いことが特徴。キッチンは電化されガスフリー、多機能リアシートはソファ・キングサイズベッドとしても快適。エンジンは2.0L 直列4気筒ターボディーゼル(170ps/380Nm)に6EDC(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせています。ショート版のコンパクト、ロング版のデラックスの選択も可能。
その他のモデル
これら以外にも、日産 プリマスター シーサイド(Nissan Primaster Seaside)、ルノー トラフィック スペースノマド(RENAULT Traffic Space Nomad)等のメーカー純正キャンパーがあります。この2台は兄弟車で車体・エンジン・ミッション等の基本構成は共通ですが、メーカーの考えや架装メーカーが異なることで立ち位置がやや違います。
日産 プリマスター シーサイドは日産とドイツの老舗架装メーカーであるデスレフ(Dethleffs)社との協業で製造・販売されるモデルです。多彩なシートアレンジと大きめの就寝スペースが特徴。エンジンは2.0L 直列4気筒ターボディーゼル(170ps/380Nmと150ps/350Nmの2仕様)、6MTと6EDCが選択できます。立ち位置としてはT6/T6.1 カリフォルニアの上位グレード、コーストやオーシャンに近いものといえそうです。
ルノー トラフィック スペースノマドはルノーとフランスの高級レジャービークルメーカーであるPilote(ピロート)社の協業によるものです。キャンパー装備や搭載エンジンにより、5つのグレードが展開されています。エンジンは2.0L 直列4気筒ターボディーゼル(170ps/380Nmと150ps/350Nmは6EDC、130psは6MT)。上級仕様はこのクラスでの基本的な装備は一通り押さえられていますが、カリフォルニアのビーチのように、ユーザー要求の多様化による簡素版の選択肢が残されているのが特徴です。
ご購入にあたっては様々なご要望に対応いたします
YMワークスではT6/T6.1カリフォルニアをはじめ、マルコポーロ、ハイマー(HYMER)等の欧州製キャンピングカーを多数輸入・販売させていただいています。
キャンピングカーは基本的にお客様のご要望に基づいて仕様・装備を決定する「カスタムオーダーメード」なクルマです。通常、仕様・装備の決定後、オーダーしてから製作が開始される為、納期は半年~1年以上になることも多々あります。T7 カリフォルニアも発売直後で多数のバックオーダーを抱えることが予想され、納期はさらにかかる可能性があります。
さらに、オプション装備が複雑なこと、もあり、状況次第ではリモートでお客様のご要望をお聞きしながらコンフィグレーターを詰めていくなど、きめ細かな対応をさせていただいております。なお、歴代カリフォルニアはサードパーティー(社外)製アクセサリーも欧州では充実しており、ご希望のものをご用意(一部、難しいものもあります)させていただいています。
まずは、下記フォームより、ご希望をお寄せください。