トランスファーケース周辺がオイルで汚れている原因と対処法

トラブル症状
トランスファーケースが黒や茶色に湿ったようになっていたり、砂や埃が付着して汚れてしまっているトラブルです。これはトランスファー自体やミッションケースからのオイル漏れを示す症状のため、早めに修理が必要です。放置して使用を続けオイル不足を引き起こすと、ミッションケースの場合はミッションの損傷、トランスファーの場合はトランスファーの故障に繋がります。
考えられる原因と故障診断
① オイルシールの劣化
原因
オイルが外部に漏れ出さないようにしているオイルシールは主にゴム製のため、経年によって劣化します。オイルシールが劣化するとそこからオイルが滲みでたり、症状が進行するとオイル漏れに繋がります。トランスファーのオイルシール、ミッションのオイルシールどちらから漏れてもトランスファーケースにオイルが伝わる可能性があります。
診断方法
車体をリフトアップしてオイル滲みや漏れが発生している箇所を特定します。
修理・改善方法
オイルシールの交換によって改善します。トランスファーやミッションのオイルシール交換はプロペラシャフトの取り外しやミッション下しなどが必要となるため、専門の知識が必要となります。
② オイル補充時の清掃不足
原因
トランスファーオイルの交換時や補充時には、新しいオイルをフィラープラグ穴から注入します。オイルの適正量はフィラープラグの穴の下端にオイル上面が重なるライン、つまりフィラープラグの穴からオイルが漏れ出る量が適正とされる車種が多くあります。そのため、オイルは必ずトランスファーケースに付着することになりますので、このこぼれたオイルをしっかり清掃せずに放置すると、オイルが広がってオイル漏れと誤認することがあります。
診断方法
下回り点検時にオイル汚れに気が付き、清掃不足なのかフィラープラグからの漏れなのか判断が難しい場合は、一度しっかりと清掃し、数日後に再度点検する必要があります。
修理・改善方法
一度清掃して症状が改善する場合は特に処置は不要です。オイル補充時にはこぼれたオイルをしっかりと清掃するようにしましょう。
③ ドレンプラグの緩み、変形
原因
オイルを抜き取るためのドレンプラグが緩んでいたり、ネジ目を合わせないまま無理やり取り付けてネジ目が破損している、大きな岩などを乗り越える際にドレンプラグに接触して歪んでいるなどの理由からオイルが漏れている可能性があります。
診断方法
いずれの場合もドレンプラグ部からのオイル漏れが顕著であり、目視での確認が容易です。ネジ目が破損している場合は、ドレンプラグを取り外すとネジ目が平らになっていたり、取り外しや取り付けの間ずっと固く、手で緩めたり取り付けたりができなくなります。
修理・改善方法
緩んでしまっている場合にはしっかりと締め付けてオイルを補充すれば改善します。ネジ目を破損してしまっている場合は、軽度の場合はねじ山修正とドレンプラグ交換で改善し、中程度の場合はリコイルやオーバーサイズへの加工で処置が可能なケースもあります。重度の場合や接触による著しい変形がある場合にはトランスファーASSYでの交換が必要となります。