バッテリーが充電されない原因と対処方法

バッテリーが充電されない原因と対処方法

トラブル症状

バッテリーの充電不良は、実際にトラブルが起きる前に気づくことは稀ですが、いくつかの兆候があります。例えば、スターターを回した時の音がいつもより弱々しい、ハロゲン式ヘッドライトの明るさが通常より暗いなどの症状から、バッテリーの劣化に気付くことがあります。

また、オルタネーター(発電機)や配線に異常がある場合は、新品のバッテリーに交換してもすぐに同じ状態になってしまうため、根本的な原因を特定し、適切な対処を行うことが重要です。

バッテリーが充電されていない状態が長く続くと、エンジンの回転に必要な電力が不足し、走行中にエンストする可能性があります。また、目的地に到着できても、次回のエンジン始動に十分な電力が残っていない場合があります。

最近のバッテリーは性能が向上しているため、劣化の兆候が現れにくく、突然のバッテリー上がりに遭遇するリスクがあります。そのため、定期的な点検や早期発見が非常に重要です。

バッテリーの充電不良は単なる不便さだけでなく、走行中のエンストなど安全面でも問題となる可能性があります。安全運転のためにも、定期的な点検を行い、少しでも異変を感じた際は速やかに整備することをお勧めします。

考えられる原因と故障診断

① バッテリー端子の接続不良

原因

バッテリーを交換した際に締め付けが緩かったり、温度変化や振動でバッテリー端子の締め付け(ターミナル部)が徐々に緩んで接触が悪くなる場合があります。オルタネーターやバッテリーが正常でも、接続する配線が緩んでしまっていては充電も効率が落ちて充電不良となります。

診断方法

バッテリー端子に手で軽く力をくわえ、動いてしまうようであれば締め付け不足や接続部の異常が考えられます。目視でも確認できる場合がありますが、専門家による点検がより確実です。

修理・改善方法

原因が緩みであれば、適切な工具を使用して締め付けることで改善します。バッテリー端子を取りつけるポール部分の痩せや、バッテリーターミナルの亀裂や変形などの場合はバッテリー交換やターミナルの交換が必要となります。これらの作業は、安全性を考慮して専門家に依頼することをお勧めします。

② オルタネーターの故障

原因

オルタネーター(発電機)が故障していると発電ができずに充電もされません。発電しなくなってしまった場合は電圧の異常をセンサーが検知してバッテリーの警告灯を点灯させますので、すぐに気が付くことができます。ただし、経年劣化による発電能力の低下では、警告灯が点灯しないため注意が必要です。

診断方法

エンジン始動前と始動後の電圧の変化や、負荷時と無負荷時の発電電流量などを計測してオルタネーターの発電状態を確認します。オルタネーターに不具合がある場合はエラーや警告灯の点灯を伴うため、診断ツールを接続して確認することも有効です。これらの診断には専門的な知識と機器が必要となるため、専門の知識を持つ整備工場での点検をお勧めします。

修理・改善方法

オルタネーターの交換によって改善します。オルタネーターは、回転によって交流を発電する発電部分と、交流を直流に変換する整流器、出力電圧をコントロールするレギュレーターなどから構成されており、どの部品に不具合が起きても正常な動作ができなくなります。基本的にはASSYでの交換になりますが、部品の設定があり、不具合個所が特定されている場合には最小単位での修理が可能になる場合もあります。

③ バッテリーの劣化

原因

オルタネーターや配線が正常でも充電されない場合は、バッテリーの劣化による充電能力の限界が考えられます。バッテリーの充電・放電能力には寿命があり、寿命を超えると反応が著しく鈍くなってしまうため、充電・放電とも能力が落ちてしまいます。

診断方法

クランキング時の放電終始電圧の確認や、バッテリーアナライザーなどを用いた性能テストによってバッテリーの健康状態を確認することができます。これらの診断には専門的な知識と機器が必要となるため、専門の知識を持つ整備工場での点検をお勧めします。

修理・改善方法

バッテリーの交換によって改善します。バッテリーにも寿命がありますので、バッテリー上がりが起きる前に定期的な交換をおすすめします。一般的に、バッテリーの交換目安は3〜5年程度ですが、使用環境や走行条件によって異なります。

④ 走行距離が短い(ショートトリップが多い)

原因

一般的な車で一番大きな電力を必要とするのがクランキング(スターターを回す行為=エンジンをかけること)です。エンジンをかけて数分走行し、エンジン停止。またエンジンをかけて数分走行してエンジン停止。このような走行を繰り返すと、何度もエンジンをかけることになりますので、走行中に充電する電力よりもクランキングで使用する電力の方が多くなってしまい、充電不足に陥ります。

診断方法

ショートトリップでの使用かどうかは車両を見ただけでは判断がつかないため、走行距離などの情報をもとにお客様に問診することで判断します。1回あたりの平均走行距離や、日々の使用パターン、週間や月間の総走行距離などの情報が重要です。

修理・改善方法

走行距離が短かすぎる場合は、エンジン停止前に数分アイドリングで充電したり、少し遠回りして走行することで改善できるケースもあります。また、週に1回程度は長めの走行を心がけることで、バッテリーの充電不足を防ぐことができます。バッテリー充電器による定期的な充電も有効な対策です。

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