ブレーキランプが点灯しない原因と対処法

トラブル症状

ブレーキペダルを踏み込んでもブレーキランプが点灯しない状態です。道路を走行している際は気が付きにくいですが、車庫に駐車する際の壁にブレーキランプの赤い光が映らなかったり、店舗前に駐車する際に店のガラスに映った車両のブレーキランプが光っていないことで気が付くこともあります。一灯だけのバルブ切れもあれば、ブレーキランプすべてが点灯しない場合もありますが、一つだけでも点灯しなければ整備不良となってしまいます。また、ブレーキランプは後続車に停止の意思を伝えるための非常に重要なシグナルであり、故障した状態で使用を続けると事故につながる危険性が高くなります。

監修者

整備士 / テクニカルディレクター

中村武央

兵庫県猪名川町在住 1972年生まれ

2005年ラリージャパンではチーフメカニックとして活躍。プジョー、シトロエン、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなど、様々な欧州車メーカーの車両を数千台以上担当し、幅広い知識と技術を持つ。10代からクルマに興味を持ち、工業系大学卒業後、大手チューニングショップを経て1999年にワイエムワークスに入社。 …続きを読む

考えられる原因と故障診断

① バルブ切れ（LEDバルブ不良）

原因

フィラメント式のバルブは、バルブ内のフィラメントが切れてしまうと光らなくなってしまいます。フィラメント式はLED式に比べて寿命が短い傾向にあり、消耗部品の一つです。LED式の場合はフィラメント式に比べて寿命は長く、バルブ切れという概念はありません。ただし、電流制御のための基板や回路などの故障や、LED自体の焼けや導通不良などの不具合は起こりますので、LEDバルブも点灯しなくなるという症状は発生します。

診断方法

点灯している他のバルブと入れ替えられる場合はバルブを入れ替えて点灯の確認を行います。バルブを入れ替えて点灯すればバルブ切れを疑い、点灯するはずのバルブを取り付けても点灯しない場合は配線などの不具合の可能性があります。テスターを使用して電圧を測定すればバルブの入れ替えをしなくても確認できますが、1人で作業をする場合はブレーキペダルを踏み込みながら電圧を測定する工夫が必要です。

修理・改善方法

バルブ交換によって改善します。なお、ブレーキランプとテールランプを兼ねているダブル球の場合は、バルブ金属部の突起やバルブの向きを間違えて取り付けると正しく点灯しなくなるため注意が必要です。

② 配線不良

原因

ブレーキランプへ電気を送るための配線が断線してしまうとブレーキランプは点灯しなくなってしまいます。断線した箇所によって症状は異なり、左右ブレーキランプに分岐する前の大元配線が断線している場合はすべてのブレーキランプが点灯せず、個別のランプに分岐した配線が断線した場合は該当するブレーキランプが点灯しなくなってしまいます。

診断方法

バルブを取り外して電圧を確認します。配線切れの場合は電圧がかかりませんので、あとは電圧がどこまで来ているかを追いかけ断線箇所の特定を行います。

修理・改善方法

断線している箇所が特定できたら、配線の修理をすれば改善します。ただし、他の部品に潰されていたり挟まれたことが原因で断線している場合には取り回しの変更や保護材などの取り付けも併せて必要になります。

③ ストップランプスイッチの故障

原因

ブレーキペダルを踏み込んだことを検知するスイッチがストップランプスイッチですので、このスイッチが故障してしまうとブレーキペダルを踏み込んでも検知ができず、ブレーキランプが点灯しなくなります。反対の症状として、このスイッチが固着してしまうとブレーキランプが点灯しっぱなしになるという状態になるケースもあります。