車のドアが閉まりにくい・しっかりと閉まらない原因と対処法

車のドアが閉まりにくい・しっかりと閉まらない原因と対処法

トラブル症状

扉を閉めようとしてもうまく閉まらないというトラブルです。ドアが跳ね返ってきて閉まらなかったり、優しく閉めようとすると扉が最後まで閉まりきらないなど、症状はいくつかあります。ドアがしっかりと閉まっていない状態での走行は非常に危険なだけではなく、法令違反にもつながるため、しっかりと修理してから使用しましょう。

中村 武央 監修者
整備士 / テクニカルディレクター
中村 武央

兵庫県 猪名川町在住 1972年生まれ

2005年ラリージャパンではチーフメカニックとして活躍。プジョー、シトロエン、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなど、様々な欧州車メーカーの車両を数千台以上担当し、幅広い知識と技術を持つ。10代からクルマに興味を持ち、工業系大学卒業後、大手チューニングショップを経て1999年にワイエムワークスに入社。 …続きを読む

考えられる原因と故障診断

① 異物が挟まっている

原因

ドアが閉まらなくなる要因のうち最も起こりやすく、改善も容易に行える症状です。開いたドアと車体の間にシートベルトやドアのビード、荷物やカバンの紐など異物が挟まっている状態です。この異物がドアが閉まるのを邪魔しているため、ドアが閉まらなくなっています。また、勢いをつけて無理やり閉めようとすると、車体の変形などに繋がるため注意が必要です。

診断方法

一度落ち着いてドアの周囲を確認しましょう。特にドアの付け根付近や、ストライカー付近など見落としやすい位置もしっかりと確認が必要です。

修理・改善方法

異物を取り除くことで改善します。

② ドアや車体が変形している

原因

ドアを開けた際に強風で煽られるなど、限界まで開いたドアをさらに無理やり開いてしまうような力がかかり、車体やドアが変形してしまうとドアが閉まらなくなることがあります。

診断方法

ゆっくりとドアを閉めると、ボディに干渉するのが確認できます。ヒンジの付け根や、ドアの付け根付近が変形していないかも確認が必要です。

修理・改善方法

変形した場所によって板金修理で改善する場合と、ヒンジやドアの交換が必要になる場合があります。どちらの修理が必要になるかはケースによりますので、専門の知識を持つ整備工場にご相談ください。

③ ドアハンドル機構の不具合

原因

ドアハンドルの内部リンク機構に不具合が起き、内部の固着や折れなどが原因でドアが閉まらない可能性があります。ドアハンドルを開いた時の状態のまま内部のリンクが固着してしまうと、ドアハンドル自体は戻っているように見えても内部のリンクはドアを開ける時のまま固まったままとなります。この状態でドアを閉めようとしてもロック機構が働かず、ドアは閉まりません。

診断方法

ドアハンドルを動かした時の感触の違いなどから判断が可能な場合もありますが、本来はドアの内張りを外した状態でリンクの動きを点検する必要があります。

修理・改善方法

リンクの動きが渋い場合は何度かドアを開け閉めしていると一時的にリンクが動き改善する場合もありますが、根本的な改善にはなっていないため、不具合部品の交換が必要になります。

④ ストライカーやラッチの不具合

原因

ドアのロック機構であるストライカーやラッチの不具合によってドアが閉まらなくなる可能性があります。ラッチは主にドア側の内部に組み込まれており、車体側に取り付けられたストライカーと呼ばれる金具を抱き込むことでドアをしっかりとロックします。ただし、このストライカーとラッチはぴったりとかみ合う必要がありますので、ストライカーの取り付けが緩んでずれていたり、変形して位置が変わってしまうとラッチとの位置がずれてかみ合わなくなることがあります。また、ラッチが異常でロック後の状態となっていると、ストライカーを抱き込むことができずに跳ね返されてしまいます。

診断方法

取り付け位置はドアをゆっくりと閉めながらラッチとストライカーのアタリを確認します。その際にラッチが閉まっている場合は、ドアハンドルを操作しながらドライバーなどでこじるように動かすと開くことがあります。

修理・改善方法

ラッチが閉まっている場合にはドアハンドルを操作しながらドライバーでこじるなどすると一時的に改善する可能性がありますが、恒久的な解決には専門の修理が必要です。ストライカーの取り付けボルトが緩んでいる場合には位置を調整したうえで締め付ければ改善します。ストライカーの取り付けボルトは一般的にトルクスという特殊な工具が必要ですので、専門の知識を持つ整備工場にご相談ください。