車のオイル・フルード漏れの原因と対処方法

トラブル症状

エンジンオイルやパワステオイル、ブレーキフルードやクラッチフルードなどが漏れている状態です。駐車場にできたオイル溜まりで気が付いたり、ボンネットを開けた際に特定の場所に染みができていることで気が付くケースもあります。

エンジンオイルやパワステオイルは可燃性のため、高温となる場所に付着すると車両火災の原因となる可能性があります。また、オイルの漏れる量によっては潤滑不足やパワステの作動不良の原因となります。ブレーキフルードとクラッチフルードは同じ液体が使用されることが多く、共用としている車種も少なくありません。

これらのフルードは塗装を浸食するという特性がありますので、フルードが付着したまま放置すると塗装がひび割れてはがれてしまいます。フルードの漏れが進行するとブレーキ配管やクラッチ配管にエアが混入してしまい、ブレーキが効かなくなったりクラッチが切れなくなるという不具合の原因にもなります。予期せぬ事故や故障を防ぐためにも、オイル/フルード漏れは放置せずに修理しましょう。

監修者

整備士 / テクニカルディレクター

中村武央

兵庫県猪名川町在住 1972年生まれ

2005年ラリージャパンではチーフメカニックとして活躍。プジョー、シトロエン、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなど、様々な欧州車メーカーの車両を数千台以上担当し、幅広い知識と技術を持つ。10代からクルマに興味を持ち、工業系大学卒業後、大手チューニングショップを経て1999年にワイエムワークスに入社。 …続きを読む

考えられる原因と故障診断

① ヘッドカバーガスケットの劣化、損傷

原因

エンジンヘッドとタペットカバーの間にあるガスケットや、シリンダーブロックとヘッドの間にあるガスケットなどが劣化や損傷によって密着性が劣ると、オイルが漏れる原因となります。

診断方法

エンジンルームの目視や、車体をリフトアップして下部から目視で点検します。漏れの箇所が分かりにくい場合には一度清掃してから確認すると分かりやすくなります。点火プラグを取り付けるプラグホールにオイルが漏れることもあるため、見落とさないよう注意が必要です。

修理・改善方法

ヘッドカバーガスケットの交換をすることで改善します。

② オイルシールの劣化

原因

クランクシャフトやカムシャフトなどの回転部からのオイル流出を防いでいるオイルシールの劣化や損傷によってオイルが漏れる原因となります。

診断方法

エンジンルームの目視や、車体をリフトアップして下部から目視で点検します。漏れの箇所が分かりにくい場合には一度清掃してから確認すると分かりやすくなります。

修理・改善方法

オイルシールの交換によって改善しますが、エンジンの種類によってはエンジン下ろしが必要だったり、タイミングベルトの取り外しが必要なケースもあります。

③ オイルパンの損傷

原因

オイルを貯めておくオイルパンに段差や縁石などが接触し、変形や損傷により傷ができるとオイルが漏れる原因となります。

診断方法

車体をリフトアップして下部から目視で点検します。

修理・改善方法

オイルパンの交換によって改善します。

④ ブレーキシリンダーの不良

原因

ブレーキペダルの力を受けるマスターシリンダーや、マスターシリンダーからの圧力を受けるホイールシリンダーなどのシリンダー内部ピストンやカップと呼ばれる部品の劣化や損傷が起こると、フルードが漏れる原因となります。

診断方法

マスターシリンダーはエンジンルームから確認し、ホイールシリンダーはドラムブレーキのドラムを取り外しての確認が必要になります。漏れがひどい場合には、ドラムの外側やタイヤにまでフルードが付着して制動力が低下します。ブレーキフルードのリザーブタンク残量に注意し、明らかに減少している場合には漏れが疑われます。