デフロスター(ウィンドウの防霜・防曇機能)が動作しない原因と対処方法

トラブル症状
フロントガラスの曇りを取ろうと風向きを切り替えても、曇りが取れない。デフロスターの作動方法は、ダイヤル式の吹き出し口選択を切り替える方式と、FRONTという文字とガラスに風が当たるようなロゴが描かれたボタンを押す方式がありますが、曇りを取る理屈は同じものになります。
フロントガラス内側の曇りをとるための機能はデフロスターと呼ばれ、除湿された空気を送風する事で結露を取り除きます。窓ガラスの曇りは主に結露ですが、外気と内気の温度差による結露や、梅雨時や雨の日の多湿によって飽和水蒸気量を超えてしまった結露の2種類があります。
どちらも窓ガラスに細かな水滴が着いた状態ですので、除湿した風を当てて湿気を飛ばすことで改善します。この除湿という効果はA/Cボタンが押された状態でのみ発揮されるため、風向きをデフロスター位置に変更しただけでは効果が得られません。必ずA/Cボタンが押された状態で使用しましょう。なお、オートエアコンの機能が着いた車では、デフロスターを選択すると自動的にA/CもONとなる事がほとんどです。
また、リアガラスの曇りを取り除く機能はデフォッガーと呼ばれ、デフロスターとは異なる機能となります。デフロスターが送風で結露や霜を取り除くのに対し、デフォッガーはリアガラスにプリントされた電熱線によって加熱することで曇りを取り除く機構です。
考えられる原因と故障診断
① A/Cボタンが入っていない(マニュアルエアコン式)
原因
A/Cボタン(エアコンボタン)が押されておらず、除湿機能が働いていない。エアコン=冷やすものという印象が強く、夏場に使用するイメージの強いエアコンですが、フロントガラスの曇りを取る目的で冬場に使用することもあります。ただし、デフロスター使用以外で冬季にエアコンを使用していても、もともと空気が乾燥しているため特に恩恵がありません。それどころか、不要なコンプレッサーを駆動させるため、燃費が悪化しますので、冬季は不要な時にA/CボタンがONになっていないか気を付けましょう。
診断方法
A/Cボタンの作動状態を確認します。
修理・改善方法
A/Cボタンを入れる事で改善します。
② 風向が切り替わっていない
原因
デフロスターはフロントガラスや運転席、助手席の窓ガラスに除湿した風を当てる必要があるため、吹き出し口を切り替える必要があります。ダイヤル式の吹き出し口変更も、オートエアコン式の吹き出し口変更もエアコンユニット内のフラップと呼ばれる部品の向きを変える事で行います。ダイヤル式の場合はワイヤーで直接引っ張り、オートエアコンの場合はモーターによって動かします。このフラップの固着やワイヤーの異常、モーターの異常などが原因で吹き出し口が切り替わらず、フロントガラスや運転席、助手席の窓ガラスに風が当たっていない可能性があります。
診断方法
デフロスターを作動させ、フロントガラスの下部にある吹き出し口から風が出ているかを確認します。
修理・改善方法
フラップ自体に異常がある場合はエアコンユニットの修理が必要となり、ワイヤーやモーターに異常がある場合は交換することで改善します。
③ エアコン機能の異常
原因
エアコンガスの不足やコンプレッサーの故障、マグネットクラッチの故障などによって、エアコンが効かない状態となっている可能性があります。この場合は、冷房をかけても冷たい風が出ません。
診断方法
A/Cボタンを押し、温度を一番低くした状態で冷房を使用し、冷え具合の確認を行います。
修理・改善方法
不良個所の修理によって改善しますが、詳しくは当サイト内の「エアコンが効かない」という記事をご参照ください。
③ リアデフォッガースイッチ不良や熱線の断線
原因
デフォッガースイッチが故障していたり、ガラス内にプリントされた熱線が断線していると、デフォッガーが効かなくなります。
診断方法
スイッチの導通確認や、熱線の導通や電圧を確認します。
修理・改善方法
スイッチが故障している場合にはスイッチの交換が必要です。熱線の断線や不具合は、補修材の修理が可能な場合と、リアガラス自体の交換が必要になる場合があります。