フロントガラスのウォッシャー液が出ない・噴射しない原因と対処方法
トラブル症状
フロントガラスの汚れを掃除しようとスイッチを操作しても、ウォッシャー液が出てこない状態です。この症状の原因には、ウォッシャーポンプ(モーター)の不良、凍結による水の流れの停止、ウォッシャーノズルの詰まりなど、複数の要因が考えられます。
特に注意が必要なのは、凍結した状態や、ウォッシャーノズルが詰まっている状況でポンプを動作させ続けることです。これによりポンプ(モーター)に過度の負荷がかかり、ポンプ(モーター)が破損してしまう可能性があります。また、フロントガラスのウォッシャー機能が正常に機能しないと、車検に通らなくなるという法的な問題も生じます。
フロントガラスのウォッシャー液が正常に機能することは、安全運転に直結する重要な要素となるため、上記のような症状や不具合が見られた場合は速やかに対処することが大切です。特に、輸入車の場合は車種特有の構造や部品があることも多いため、輸入車専門の整備工場での点検・修理を受けることで、より適切かつ迅速な対応が可能となります。
考えられる原因と故障診断
① ウォッシャーポンプ(モーター)の故障
原因
ウォッシャータンクの下部には、ウォッシャー液を吐出するためのポンプが設置されています。ウォッシャースイッチを操作すると、このポンプがウォッシャー液を吸い込み、ウォッシャーノズルから噴出させる仕組みになっています。しかし、このウォッシャーポンプ(モーター)が故障すると、ウォッシャー液を送り出すことができなくなり、結果としてウォッシャー液が出なくなってしまいます。
診断方法
ウォッシャーポンプの状態を診断するには、まずウォッシャー液を出すスイッチを操作した際にモーター音がするかどうかを確認します。さらに精密な診断を行うには、モーター部の電圧を測定します。モーターに直接電圧をかける単体テストを実施すると、より正確な診断が可能です。
修理・改善方法
ウォッシャーポンプの故障が確認された場合、基本的にはポンプの交換によって問題が解決します。ただし、ポンプ単体での部品設定がない場合にはウォッシャータンクASSYでの交換が必要となります。この作業には専門的な知識と工具が必要となるため、一般のドライバーにとっては難しい作業です。安全性を考慮し、専門の知識を持つ整備工場での修理をお勧めします。
② ウォッシャー液の凍結
原因
市販のウォッシャー液には通常、アルコール成分(エタノールやメタノール)が配合されており、およそマイナス10度前後まで凍結しないよう調整されています。しかし、ウォッシャー液を大量の水で薄めてしまったり、水道水のみを使用している場合は、気温が0度以下になると凍結する恐れがあります。凍結したウォッシャー液はポンプで送ることができず、結果としてウォッシャー液が出なくなってしまいます。
診断方法
ウォッシャー液の凍結による不具合は、気温が上昇するとウォッシャー液が正常に出るようになるという特徴的な症状を示します。気温が低い時に症状が出て、気温が上がると改善するという現象が起こる場合は、ウォッシャー液の凍結が原因である可能性が高いと言えます。
修理・改善方法
凍結防止には、適切なウォッシャー液の選択と使用が重要です。ウォッシャー液には原液のまま使用するタイプや、指定された倍率で薄めて使用するタイプなどがあります。特に寒冷地で使用する場合や、寒冷地への旅行を予定している場合は、凍結防止効果の高いウォッシャー液を選び、適切な濃度で使用することが大切です。これにより、凍結によるトラブルを予防することができます。
③ ウォッシャーノズルの詰まり
原因
ウォッシャー液はボンネットに取り付けられたウォッシャーノズルから噴出されます。このノズルの噴出口は非常に小さな穴となっているため、汚れやワックスなどの異物が詰まってしまうことがあります。ノズルが詰まると、ウォッシャー液の噴射方向が変わったり、まったく出なくなったりする場合があります。
診断方法
ウォッシャーノズルの状態を診断するには、噴出孔を目視で確認します。汚れの詰まりや異物の混入、錆びなどがないかを注意深く観察します。
修理・改善方法
ウォッシャーノズルの詰まりは、専用の清掃ツールを使用して取り除くことができます。しかし、ノズルが腐食によって損傷していたり、清掃では改善が難しい場合には、ノズルの交換が必要となることもあります。
④ ウォッシャースイッチの故障
原因
ウォッシャー液を噴射するためのスイッチが故障すると、ウォッシャーポンプが作動しなくなり、結果としてウォッシャー液が出なくなります。
診断方法
ウォッシャースイッチの故障は、モーター(ポンプ)の不具合と混同しやすいため、慎重な診断が必要です。スイッチを操作した際に、モーターまで電圧が来ていなければスイッチが故障している可能性が高くなります。より詳細な診断には、配線を切り離してスイッチの単体導通テストを行うことも有効です。その際、スイッチのコネクターには電源が来ている事も併せて確認が必要です。
修理・改善方法
ウォッシャースイッチの故障が確認された場合、スイッチの交換によって問題を解決できます。ただし、この作業には電気系統の知識が必要となるため、専門の知識を持つ整備工場での修理をお勧めします。
⑤ デリバリーホースの折れ、抜け、穴あき
原因
ウォッシャー液をノズルに供給するホースに問題が生じると、ウォッシャー液が正常に供給されなくなります。具体的には、ホースが何かに挟まって折れている(潰れている)、ホースが接続部から抜けている、ホースに穴が開いているなどの状況が考えられます。これらの不具合により、ウォッシャー液が出なかったり、噴射の勢いが弱くなったりします。
診断方法
デリバリーホースの状態を診断するには、ウォッシャー液のタンクから噴出孔までの経路を目視で確認します。ホースの折れ、抜け、穴あきなどの異常がないかを注意深く観察します。
修理・改善方法
ホースが抜けている場合は、再接続することで問題が解決することがあります。しかし、ホースが折れて元に戻らない場合や、穴が開いている場合には、ホースの交換が必要となります。この作業は比較的簡単に行えることもありますが、車種によっては難しい場合もあるため、自信がない場合は専門の知識を持つ整備工場に相談することをお勧めします。