トラブル症状

ガソリンを満タンに給油すると漏れてくる、室内にガソリンの臭いが充満するなどの症状や、ガソリンの量に関係なく漏れるという症状です。漏れのレベルは、ガソリンの臭いはするが液体が目視できないもの、滲みが目視できるものや、地面まで垂れるような漏れを起こす重大なものまで様々です。

一般的な印象の通りガソリンは非常に引火しやすく、静電気などの小さな火花でも引火して車両火災に至る危険があります。ガソリン漏れの症状が出ている場合や、ガソリンの臭いが充満するなどの症状がある場合にはすぐにご相談ください。

中村 武央 監修者
整備士 / テクニカルディレクター
中村 武央

兵庫県 猪名川町在住 1972年生まれ

2005年ラリージャパンではチーフメカニックとして活躍。プジョー、シトロエン、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなど、様々な欧州車メーカーの車両を数千台以上担当し、幅広い知識と技術を持つ。10代からクルマに興味を持ち、工業系大学卒業後、大手チューニングショップを経て1999年にワイエムワークスに入社。 …続きを読む

考えられる原因と故障診断

フューエルラインの劣化、破損

原因

給油口と燃料タンクを繋ぐ配管や、燃料タンクからのエア抜き用のパイプなどが損傷したり、劣化によってヒビなどが生じると、そこから燃料が漏れ出す危険があります。目視で気づきにくい部位であり、給油後にガソリンの臭いがきつくなるなどの症状で気が付くこともあります。事故などの外的要因による損傷も考えられますので、給油口付近の損傷や変形には注意が必要です。

診断方法

接触事故や変形が無いかの確認を行い、リフトアップしての点検や、臭いの元をたどる作業が必要となります。

修理・改善方法

フューエルラインやパイプの交換によって改善します。

燃料ポンプ取り付け部の不具合

原因

燃料ポンプは燃料タンクに直接埋め込まれているものも多く、タンクとポンプの密着する部分には気密を保つためにガスケットが使用されるのが一般的です。劣化によってこのガスケットが損傷し、気密を保てなくなると燃料漏れの原因となります。

診断方法

燃料ポンプ部を目視できるように車両のフロアマットなどを取り外して、直接燃料ポンプを確認します。

修理・改善方法

燃料ポンプの交換と同時にガスケット部などの消耗品の交換が必要となります。

燃料タンクの損傷

原因

燃料タンク本体は車体下部に取り付けられていることが多いため、縁石に乗り上げる、大きな石を乗り越えるなどした際に燃料タンクと障害物が接触して破損するケースがあります。タンク下部に穴や亀裂ができてしまうと、燃料の量にかかわらず漏れ出してきます。停車中にも止まることなく漏れ出ますので、万が一燃料タンクの損傷に気が付いた場合は大至急修理工場への連絡が必要です。

診断方法

リフトアップをして点検します。亀裂が疑わしい場合にはレッドチェック(探傷器)を使用した確認も必要となります。

修理・改善方法

基本的にはタンクASSYの交換となるケースが多くなります。

フューエルキャップの気密不良

原因

フューエルキャップには一定のトルクになると空回りするような機構が組み込まれているため、カチカチとなるまで締めこめばしっかりと締まっていることになります。しかし、この機構が壊れてしまうと規定トルクよりも弱いという状態となることがあります。しっかりとガスキャップが締まらないため、満タンにした直後にキャップ部より漏れたり噴き出したりする可能性があります。

診断方法

フューエルキャップを締め付けた際のトルクが規定値となっているか確認します。

修理・改善方法

フューエルキャップの交換によって改善します。