スピードメーターが動かない・速度が表示されない原因と対処方法
トラブル症状
スピードメーターが動かないという症状には、様々な不具合の傾向があります。メーターが一切動かないものや、たまに動くもの、動きはするが挙動がおかしいなどの症状が出やすく、ABS警告灯や他の警告灯の点灯を伴うケースもあります。スピードメーターを動かす方式は機械式と電気式の2種類があり、現在はセンサーで検知する電気式が主流ですが、旧車ではワイヤーで回転を伝える機械式が多く使われていました。
スピードメーターの表示は車検に関わる項目にもなりますので、故障したままでは車検に通らないことはもちろんですが、正確な速度がわからない状態で走行するのは非常に危険です。また、ABSやトラクションコントロールなどの車速データを使用するアシスト機能も正しく作動しなくなってしまいます。
考えられる原因と故障診断
機械式の場合
① ワイヤーの不具合
原因
回転をメーターに伝えるワイヤーが緩んで回転がうまく伝えられなかったり、ワイヤー自体が断線していると回転がメーターに伝わらず、スピードメーターが動かなくなります。
診断方法
ワイヤーの先端は四角くなっており、その四角にぴったりはまるようにセットされることで回転を伝えます。ワイヤーの取り付けが緩んで四角い部分が抜けていないか、取り外して両端を確認し、片方を回転させたときに反対側がしっかり回転するかを確認します。片方を回したときに反対側が回らなければ断線しています。
修理・改善方法
ワイヤーの交換により改善します。接続部の緩みが原因の場合には、締め直しで改善することもあります。
② メーター本体の故障
原因
メーターのギヤや内部機能が故障するとスピードが表示できなくなります。メーター本体の故障の場合は、たまに動くや、メーター表示がおかしいなどの症状が出る可能性もあります。
診断方法
ワイヤーが正常な場合はメーター側の不具合の可能性が高くなります。
修理・改善方法
メーターの交換により改善します。メーター交換時の注意点は、総走行距離を表示している部位も交換になってしまうため、整備記録簿に交換時の走行距離を記載しておく必要があります。
③ トランスミッションギヤ部の不具合
原因
ワイヤーに回転を伝える接続部やギヤ部に不具合があると、ワイヤーを回転させることができなくなり、スピードメーターが動かなくなります。
診断方法
ワイヤーに断線がないことを確認後に、メーターに差し込む側のワイヤーを外したままの状態で車両をリフトアップしてエンジンを始動します。低速でタイヤを回転させたときにワイヤーが回転するかを確認し、回転していなければトランスミッションギヤ部の異常が考えられます。
修理・改善方法
トランスミッションギヤ部が破損している場合は、トランスミッションを下ろしての分解、部品交換となります。特定整備(旧:分解整備)となるため、必ず専門の知識と資格を持つ整備工場で修理してください。
電気式の場合
① センサーの故障
原因
トランスミッションやホイール部の回転数を検知するためのセンサーが故障すると回転数が検知できなくなり、スピードメーターが正しく動作しません。ABSやトラクションコントロールなどの機能にも走行スピードのデータが使用されるため、正しく速度が計測できないと警告灯が点灯するケースが多くなります。
診断方法
警告灯の有無やエラーの有無から判断します。診断ツールの接続が有効です。
修理・改善方法
センサーの交換により改善しますが、車種によってはセンサー交換時にECUへの設定が必要な場合もあります。
② メーター本体の故障
原因
スピードメーター本体の故障により正しく表示がされなくなります。コネクターの接触不良が原因になる場合もあります。
診断方法
メーター以外の故障診断を実施し、他の部位が正常であればメーター本体の故障を疑います。
修理・改善方法
メーター本体の交換により改善しますが、総走行距離を表示している部位も交換になってしまうため、整備記録簿に交換時の走行距離を記載しておく必要があります。
③ 配線の不具合
原因
センサーからコンピューターに信号を送り、そのデータを元にコンピューターが速度を計算してスピードメーターに速度の表示をしていますが、全て配線によって接続されています。そのため、どこかで断線していたり、コネクターでの接触不良があると正しく情報が伝わらずにスピードメーターが表示できなくなります。
診断方法
段差を乗り越えると症状が出たり消えたりする、コネクター付近の配線を揺らすと症状が出たり消えたりするような場合は配線やコネクターの不良が考えられます。
修理・改善方法
配線の不具合が特定できた場合は、原因となっている箇所の修理で改善するケースが多いですが、水没などで大部分の配線に影響がある場合はメインハーネス(配線の集合体)の交換が必要な場合もあります。コネクター内の端子の腐食なども注意が必要です。