タイヤの内側にグリスやオイルが付着する原因と対処方法

タイヤの内側にグリスやオイルが付着する原因と対処方法

トラブル症状

ホイールの内側に黒っぽいグリスが付着していたり、ホイールの内側全周が汚れている状態になります。このトラブルは、夏用タイヤと冬用タイヤ(スタッドレス)を交換する際や、洗車時にホイールの隙間から見えて気が付くケースが多くなります。

タイヤの内側のグリスやオイルの付着は、車の重要な部品の劣化を示す重要なサインです。この症状に気づいたら、速やかに専門の知識を持つ整備工場での点検をお勧めします。適切な時期のメンテナンスは、車の安全性を高め、高額な修理費用を防ぐことにつながります。

重要:この問題を放置すると、ドライブシャフトやロッドエンドの摺動部に異物が混入して異音の原因となったり、最悪の場合は部品が脱落して走行不能になる危険があります。早期発見と適切な対処が不可欠です。

考えられる原因と故障診断

ドライブシャフトブーツの破れ

原因

ドライブシャフトブーツは、エンジンの動力をタイヤに伝えるドライブシャフトを保護する重要な部品です。走行中は常に角度を変えながら回転しているため、ブーツの形状も絶えず変化しています。

耐油性・耐候性に優れたゴムが使用されていますが、経年劣化によってゴムが破けると、中のグリスが漏れ出します。ブーツが破れた状態で回転すると、グリスが周囲に撒き散らされ、ホイールの内側全周が汚れる原因となります。

診断方法

車体をリフトアップし、ドライブシャフトブーツを目視で確認します。ハンドルを切った状態でも、破れが確認できる場合があります。

修理・改善方法

ドライブシャフトブーツは消耗品ですので、交換することで改善します。また、左右どちらかのブーツが破れた場合は、反対側も同程度劣化していることが想定されますので、左右同時交換をお勧めします。交換用のドライブシャフトブーツには、ドライブシャフトを抜いて交換するタイプとドライブシャフトを装着したまま交換できるタイプがあります。

タイロッドエンドブーツの破れ

原因

タイロッドエンドは、ハンドル操作の力をタイヤに伝える重要な部品です。タイロッドとナックル(ホイールの取り付け部)を繋ぐ部分には、ボールジョイントという角度を変えて力を伝えられる部品が使用されています。

このボールジョイントの摺動部もブーツで覆われ、中にグリスが封入されています。ブーツが破れると、このグリスが外部に露出します。タイロッドエンドブーツの破れは、ドライブシャフトブーツに比べて気づきにくい傾向があります。これは、中のグリス量が少なく、シャフト自体が回転しないためグリスの飛散が少ないからです。

診断方法

車体をリフトアップして、タイロッドエンドブーツを目視で確認します。

修理・改善方法

基本的には、ブーツ交換とグリスの注入で修繕が可能です。ただし、ボールジョイントから異音が発生している場合や、摺動時にひっかかるような違和感がある場合は、ボールジョイントごとの交換が必要になります。

タイロッドエンドブーツも、左右の劣化具合は同程度と考えられます。そのため、左右同時での交換をお勧めします。これにより、将来的な故障リスクを低減し、作業の効率化も図れます。

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