警告灯が点灯した場合の原因と対処方法
トラブル症状
運転中にメーターパネルの警告灯が点灯や点滅してしまうトラブルです。メーターパネル内に点灯する警告灯には様々な種類がありますが、これらの警告灯は色や形などがISO(国際標準化機構)によって定められているため、国産車も輸入車も共通のマークを使用しています。警告灯の色によって緊急度が異なり、特に赤い警告灯(シートベルト警告や半ドア警告除く)の場合は走行の中断が必要なレベルの警告を意味します。
赤色の警告灯(シートベルト警告や半ドア警告除く)が点灯した場合は、重大な故障の可能性が高いため、すぐに修理が必要です。走行を続けるとエンジンが停止したり、ブレーキやハンドルに異常をきたし危険な状態になる可能性があります。安全な場所に停車し、直ちに修理を依頼してください。
黄色い警告灯の場合、即座にエンジントラブルが発生したり走行不能になる可能性は低いですが、警告灯の種類によっては放置するとエンジンに異常をきたすなど、大きなトラブルにつながる可能性があります。
ISO規格で色や形などは定められていますが、輸入車の警告灯システムは複雑で、車種や年式、点灯や点滅などによって細かな違いがある場合があります。不明な点がある場合や、警告灯が点灯したままで消えない場合は、専門の知識を持つ整備工場にご依頼ください。
考えられる原因と故障診断
黄色い警告灯
① 燃料残量警告灯
原因
燃料が残り少なくなっている状態です。
診断方法
メーターパネルの燃料計を確認します。多くの場合、燃料計の針が「E」に近づいていることでも判断できます。
修理・改善方法
最寄りのガソリンスタンドで燃料を給油することで解決します。現在の車両は燃費性能が向上しているため、警告灯点灯後も約50km程度の走行が可能な車種が多いですが、早めの給油をお勧めします。
② ウォッシャー液警告灯
原因
ウォッシャー液の残量が減少している状態です。
診断方法
ウォッシャー液のリザーバータンクを目視で確認します。
修理・改善方法
ウォッシャー液を補充することで解決します。補充の際は、凍結防止タイプのウォッシャー液を使用することをお勧めします。
③ ABS・ブレーキアシスト警告灯
原因
ABS(アンチロックブレーキシステム)機能に異常がある場合や、車種によっては灯火類のバルブ切れでも点灯することがあります。
診断方法
専門の診断機器を使用してABSの状態を確認します。また、全ての灯火類(ヘッドライト、テールランプなど)の点灯確認も行います。
修理・改善方法
ABSやブレーキアシストに異常がある場合は、タイヤの回転センサーやABSアクチュエーター、CPUなどの交換が必要になることがあります。バルブ切れの場合は該当するバルブの交換で改善します。これらの作業は安全に直結するため、必ず専門の知識を持つ整備工場で行ってください。
④ エンジン警告灯
原因
エンジンの各種センサーに異常が発生していることを示します。
診断方法
専門の診断機器を使用してエンジン制御システムのエラーコードを読み取り、問題箇所を特定します。
修理・改善方法
O2センサーやエアフロメーターなどに異常が発生した際に点灯するケースが多く、それらの部品交換によって改善します。ただし、単純なセンサー交換で解決する場合もあれば、エンジン内部の問題を示している場合もあるため、専門家による詳細な診断が必要です。
赤い警告灯
① シートベルト非装着警告灯
原因
運転者または同乗者がシートベルトを装着していない状態です。座席に重い荷物を乗せた場合も、人の乗車と誤認して警告灯が点灯する場合もあります。
診断方法
目視でシートベルトの装着状況を確認します。また、シートベルトの着用が必要な座席に荷物が乗っていないかも確認が必要です。
修理・改善方法
シートベルトを正しく装着することで警告灯は消灯します。荷物が乗っている場合は移動するか、その座席のシートベルトを装着することで消灯します。シートベルトを装着しても警告灯が消えない場合は、シートベルトバックルのセンサーや配線に問題がある可能性があります。
② 半ドア警告灯
原因
車のドアやトランクが完全に閉まっていない状態です。
診断方法
全てのドアとトランクが確実に閉まっているか確認します。
修理・改善方法
該当するドアやトランクを確実に閉めることで警告灯は消灯します。きちんと閉めても警告灯が消えない場合は、ドアスイッチや配線に問題がある可能性があります。
③ エアバッグ、プリテンショナー警告灯
原因
エアバッグシステムや、シートベルトのプリテンショナーに異常がある状態です。
診断方法
専門の診断機器を使用してエアバッグシステムのエラーコードを読み取り、問題箇所を特定します。
修理・改善方法
何らかの作業時にコネクターが外れてしまっている場合もありますが、センサーなどの不具合の場合は該当部品の交換が必要になります。エアバッグシステムは乗員の安全に直結する重要な装備であるため、必ず専門の知識を持つ整備工場で点検・修理を行ってください。
④ ブレーキ警告灯
原因
ブレーキシステムに問題がある状態です。サイドブレーキ(パーキングブレーキ)を使用している際にも点灯しますが、ブレーキフルードの残量が減少している場合や、電動パーキングブレーキに異常がある際にも点灯します。ブレーキフルードの残量が低下し、センサーが反応するギリギリの液面になると、坂道やカーブなど車両の傾きや振動でブレーキ警告灯が点滅(ついたり消えたり)するような症状となります。
診断方法
まずサイドブレーキが解除されているか確認します。解除されていてもランプが点灯する場合は、ブレーキフルードの残量をチェックします。電動パーキングブレーキ搭載車の場合は、専門の診断機器でシステムの状態を確認します。
修理・改善方法
サイドブレーキを解除しても消えない場合は、ブレーキフルードの補充や漏れ箇所の修理、ブレーキパッドの交換などが必要になる可能性があります。電動パーキングブレーキの異常の場合は、システムの再設定や部品交換が必要になることがあります。ブレーキシステムは安全に直結するため、速やかに専門の知識を持つ整備工場にご連絡ください。
⑤ 充電警告(バッテリー警告)灯
原因
バッテリーの異常やオルタネーター(発電機)の発電電圧が低下している状態です。
診断方法
バッテリー電圧の測定やオルタネーターの発電状態を専用のテスターで確認します。
修理・改善方法
バッテリーの劣化やオルタネーターの故障が考えられます。状況に応じてバッテリーやオルタネーターの交換が必要になります。充電系統の不具合は走行中のエンジン停止につながる可能性があるため、早急に専門の知識を持つ整備工場で点検・修理を行ってください。
⑥ 油圧警告灯(オイルランプ)
原因
エンジンオイルの油圧が低下している状態です。油圧の低下はエンジンに致命的なダメージを与える可能性があるため、この警告灯が点灯した場合は直ちにエンジンを停止し、専門の知識を持つ整備工場にご連絡ください。
診断方法
エンジンオイルのレベルゲージでオイル量を確認します。オイル量が正常でも点灯する場合は、油圧計を使用して実際の油圧を測定します。
修理・改善方法
オイルが減少している場合は補充やオイル交換で改善します。ただし、オイル漏れやオイル上がり・下がりによるオイルの過剰消費などが原因の場合は、それらの修理をしないと根本的な改善にはなりません。センサーの不具合の場合はセンサーの交換、オイルポンプが故障してオイルを正常に循環できていない場合はオイルポンプの交換が必要です。
⑦ 水温警告灯(赤)
原因
エンジン冷却水の温度が異常に上昇している状態です。いわゆるオーバーヒートの症状です。
診断方法
エンジンルームを開け、冷却水の漏れや蒸気の噴出がないか確認します。また、冷却水リザーバータンクの水量も確認します。
修理・改善方法
安全な場所に停車し、電動ファンが回っている場合はアイドリング、電動ファンが作動していない場合はエンジンを停止して放置し、冷却することで一時的に改善します。しかし、根本原因を改善しない限り再発するため、原因となる箇所の修理が必要です。原因として考えられるのは、サーモスタットの異常、ラジエーターや水路の詰まり、冷却水の不足(漏れ)、ラジエーターキャップの不具合などです。オーバーヒートはエンジンに重大なダメージを与える可能性があるため、この警告灯が点灯した場合は、すぐに専門の知識を持つ整備工場にご連絡ください。