ステアリング操作が重い・切りにくい原因と対処方法

ステアリング操作が重い・切りにくい原因と対処方法

トラブル症状

ハンドルを回そうとすると、いつもより重く回しにくい症状です。症状が重い場合は、片手で操作するのが困難になるほど重くなるケースもあります。ハンドルが重くなって切りにくいという症状は、メンテナンス不足から故障まで様々な原因があるため、症状をしっかりと把握して早急に対処することが肝心です。

考えられる原因と故障診断

① タイヤの空気圧不足やパンク

原因

タイヤの空気圧が不足すると、接地面が増えてハンドル操作が重くなります。また、パンクが原因でタイヤが潰れると著しくハンドル操作が重くなります。空気圧に異常があるまま走行するとバーストの危険があるため、早急に対処が必要です。

診断方法

タイヤの空気圧を測定し、メーカーの推奨値と比較します。ハンドルの操作感に違和感がある、車の挙動がいつもと違うなども目安となります。

修理・改善方法

空気圧が低い場合は適切な値まで補充し、パンクが見つかった場合は修理またはタイヤの交換を行います。

② タイヤハウス内の異物

原因

タイヤハウス内に異物が入り込むと、タイヤの回転が阻害され、ハンドル操作が重くなります。特に長時間雪道を走行すると、タイヤハウス内にはねた雪が凍り付き、タイヤに干渉してハンドルが切れなくなるケースもあるため注意が必要です。

診断方法

タイヤハウス内を目視で確認し、異物がないかチェックします。

修理・改善方法

異物が見つかった場合は取り除きます。雪道を走行する場合は定期的に確認が必要です。

③ タイロッドエンドの変形

原因

タイロッドエンドが変形すると、タイヤの開き具合である「トー」の調整が狂ってハンドル操作が重くなる場合があります。縁石に乗り上げてしまったり、フロントタイヤ付近が変形するような事故に遭ってしまった場合は注意が必要です。

診断方法

車両をリフトアップし、タイロッドエンドを目視で確認して異常がないかチェックします。また、サイドスリップテスターでトーイン・トーアウトの確認を行います。

修理・改善方法

変形が見られる場合は、部品を交換します。交換後、トーイン・トーアウトの調整が必要です。

④ オイル式パワステのオイル不足

原因

オイル式パワステのシステムに必要なオイルが不足すると、エアの噛みこみなどにより油圧がかけられなくなってハンドル操作が重くなります。

診断方法

パワステオイルのレベルを確認します。油圧に異常が発生するレベルでは、ポンプ内にエアを噛みこみ異音が発生する可能性もあるため、音も目安の一つとなります。

修理・改善方法

基本的にパワステオイルは減少しないため、減っている場合は漏れが考えられます。漏れている箇所の特定を行い、修理が必要です。

⑤ オイル式パワステの駆動ベルト切れ

原因

駆動ベルトが切れるとパワステポンプが動かず、油圧が発生しなくなるためハンドル操作が重くなります。この場合は、エンジンを切っている時と同様の重さになります。据え切りはかなり難しく、両手で操作が必要なほどになります。

診断方法

駆動ベルトの状態を目視で確認します。また、ポンプ本体に異常がないか手で回して確認します。

修理・改善方法

駆動ベルトが切れている場合は、新しいベルトに交換します。

⑥ オイル式パワステのポンプ故障

原因

パワステポンプが故障すると、必要な油圧が発生しなくなるためハンドル操作が重くなります。

診断方法

パワステポンプの動作を確認し、異音や漏れがないかチェックします。

修理・改善方法

ポンプに異常が見られる場合は、修理または交換を行います。

⑦ 電動パワステのモーター故障

原因

電動パワステのモーターが故障すると、アシストが効かずハンドル操作が重くなります。この場合はパワステ系の警告灯が点灯するケースが多くなります。

診断方法

診断ツールを接続してエラーや故障の確認を行います。

修理・改善方法

モーターが故障している場合は、修理または交換を行います。

⑧ 電動パワステのシステム異常

原因

センサーや制御装置など、電動パワステの制御システムに異常があるとパワステが効かなくなってハンドル操作が重くなる場合があります。この場合は警告灯の点灯や、他のアシスト機能が効かなくなるなどの症状が併発します。

診断方法

診断ツールを使用してエラーや故障の確認を行います。

修理・改善方法

システムに異常が見つかった場合は、故障した部位の交換を行います。

⑨ ステアリングギヤボックスの故障

原因

タイヤを左右に動かす力を伝えるステアリングギヤボックスが故障すると、ハンドル操作が重くなったり、動かなくなるなどの症状が発生します。

診断方法

ギヤボックスの動作を確認し、異音や異常な動きをチェックします。

修理・改善方法

ギヤボックスが故障している場合は分解修理するケースはあまりなく、ギヤボックスASSYでの交換がほとんどです。