車の乗り心地が劣化している原因と対処方法

トラブル症状
サスペンションの故障やタイヤの異常、シートの劣化や振動の大きさなどによって、乗り心地が悪くなったという症状です。長年乗った車の乗り心地が悪くなったと感じる場合には、劣化や摩耗などによる可能性が高く、急激に乗り心地が悪化したと感じる場合は故障や異常が発生している可能性が高くなるため、早めに点検が必要です。
また、他の車に乗った、新しい車に乗り換えた際に感じたというようなケースでは、車の劣化や摩耗以外に仕様の違いである可能性もあります。車に求める乗り心地は十人十色です。ダイレクトな乗り心地(かちっとした乗り心地)は、スポーティな走りや高速走行を重視するドライバーに好まれる傾向があります。一方で、街乗りや快適性を重視する場合は、よりソフトな乗り心地が好まれる傾向があります。どちらもメリット・デメリットがあり、乗り心地が悪いと感じる場合には、そのデメリットを強く感じている可能性が高くなります。
考えられる原因と故障診断
①サスペンションの故障やセッティングミス
原因
サスペンションは、車の乗り心地を決定する最も重要な要素の一つで、乗り心地に対して50%以上の影響を与えると言っても過言ではありません。そのため、スプリングの折損や変形、ショックアブソーバーの抜けなど、サスペンションに関わる故障は乗り心地にダイレクトに影響を及ぼします。段差やカーブでフワフワと挙動が安定しない、異音がするなどの場合はサスペンションが故障している可能性があります。
また、日本では低速域での乗り心地を重視し、ドイツでは高速走行時の安定性を重視する傾向があると言われるように、サスペンションのセッティングは車種や製造国によって異なり、それぞれの道路事情や速度域に合わせて調整されています。もともとの車両のセッティングや、カスタムによるサスペンションのセッティングと、希望する乗り心地がマッチしていない可能性もあります。
診断方法
タイヤとタイヤハウスの隙間を見比べたり、車両をリフトアップしてサスペンションに異常がないかを確認します。セッティングにより感じる乗り心地の悪さが疑われる場合は、希望する乗り心地とセッティングがマッチしているかの確認が必要です。
修理・改善方法
スプリングやショックアブソーバーなどが故障している場合には、交換を行います。セッティングの調整は車高調が採用されている場合は調整を行い、それ以外ではスプリングの変更やショックアブソーバーの交換などによって改善します。
②タイヤ(ホイール)の異常やミスマッチ
原因
タイヤ(ホイール含む)も乗り心地に大きな影響を及ぼします。空気圧の調整不良やパンクは乗り心地や安定感に、偏摩耗などはロードノイズ、走行安定性に影響があります。また、タイヤの種類や性能も重要で、タイヤが車種に合っていなかったり、リーズナブル過ぎるタイヤにも注意が必要です。カスタムによってホイールの大径化を行っている場合も、乗り心地が悪化する傾向があります。
診断方法
タイヤの空気圧が適切かの確認や、偏摩耗や変形がないかの確認をします。また、タイヤの種類が適切か、ホイールの変更がされていないかの確認も必要です。
修理・改善方法
空気圧の調整、タイヤの交換によって改善します。ホイールのサイズ変更が行われている場合は、操作性と乗り心地、見た目のバランスが取れるホイールに変更することが重要です。
③シートのへたりや相性
原因
直接体を預けるシート(座席)は乗り心地に直接影響を及ぼします。経年劣化によるへたりでクッション性が損なわれたり、内部に隙間ができることで振動が多くなることがあります。また、シートのカスタムが行われている場合は、自分の好みとシートの特性がマッチしていない可能性もあります。
診断方法
座面や背もたれ部分を触り、クッションにムラやへたりがないかの確認を行います。また、カスタムが行われていないかの確認も行います。
修理・改善方法
シートのレストアや、シート交換によって改善します。
④エンジンマウントやミッションマウントの劣化
原因
エンジンやミッションの振動を吸収するためのマウントが劣化すると、硬化して振動吸収力が弱まり、不快な振動につながります。アイドリング時や信号待ちの際に、振動が大きいと感じたり、室内で共振による異音が発生するような場合にはマウントが劣化している可能性があります。
診断方法
エンジンルームや下回りから、マウントの状態を確認します。
修理・改善方法
マウントの交換により改善します。ただし、ボディとエンジン(ミッション)を切り離す作業は特定整備(旧:分解整備)に該当するため、専門の知識と設備を持った整備工場での作業が必要となります。


