車の電気系統の全体チェック

トラブル症状
明確なトラブル症状が無い場合でも、定期的に電気周りのチェックを行うことで車両の状態を把握することができます。バルブ切れやエラーの有無、バッテリー電圧などの状態を確認することは、安全なドライブや予防整備として役立ちます。
また、車両が正常な状態を把握することで、異常発生時にいち早く気づくことが可能となります。
考えられる原因と故障診断
① ライト周りのチェック
原因
ライト周りの異常はバルブ切れによるものが多くなります。車幅灯、ヘッドライト(ハイ・ロー)、ウインカー、ストップランプなど、すべてのライトを確認しましょう。車を運転する前には、車両の状態を点検する「日常点検」が義務付けられていますので、忘れずに点検が必要です。
診断方法
車幅灯、ヘッドライト、ウインカーなどは作動させた状態で外に出て点灯(点滅)の確認が可能です。ストップランプはブレーキペダルを踏んでいないと点検ができないため、第三者にチェックしてもらうか、壁や店舗のガラスなどに反射させて確認する方法などがあります。ナンバー表示灯や車内のルームランプなども忘れずに確認しましょう。
修理・改善方法
点灯不良がある場合は、バルブを外して確認します。ただし、バルブのガラス部を直接素手で触ると油分や汚れが付着し、寿命を縮める要因となるため素手で触らないよう注意が必要です。多くの場合はバルブ切れによるものになるため、ワット数を確認してバルブを交換することで改善します。バルブ切れを起こしていないのに点灯しない場合は、他の原因が考えられるため修理工場への依頼が必要です。
② バッテリー電圧のチェック
原因
バッテリーは始動時だけでなく、エンジン回転の維持のためにも必須となります。また、バッテリーが上がってしまうと、エンジンがかけられないだけではなく、電子ドアロックも反応しなくなってしまう恐れがあります。最近のバッテリーは性能が上がったため、寿命末期まで性能を発揮してしまい、突然バッテリー上がりを起こす「バッテリーの突然死」と呼ばれる現象が発生するケースが多くなります。そのため、予期せぬトラブルを回避するためにも、異常が発生する前に定期的な交換を心がけましょう。
診断方法
日常的に行えることは、まずクランキング時の音をよく聞いておくことが挙げられます。バッテリー新品時の音は「キュキュキュン」と勢い良く元気な音ですが、弱ってきた時の音は若干「キュキュキュン」という音が遅く、弱くなります。ただし、この方法はかなり注意深く聞いていないと判別ができず、あくまでも目安となる範囲です。基本的には電圧計(テスター)の使用や、バッテリー診断器によるチェックが有効です。
修理・改善方法
バッテリー交換によって改善します。バッテリーは予防整備が非常に有効な部品ですので、異常が発生してから交換するよりも、使用環境によって1年ごとや2年ごとに交換することでトラブルを回避できます。また、バッテリーだけではなく、充電装置であるオルタネーターの発電能力も定期的にチェックすると、より安心です。
③ メーターパネルのチェック
原因
メーターパネルやエアコンのコントロールパネル、操作スイッチ類にも点灯する箇所があります。これらが正常に機能することは車検を通すうえでも必須となるため、日常的にチェックが必要です。また、万が一警告灯が正常に点灯しないと、車両に異常が発生したことに気が付かず、思わぬ事故につながる可能性があるため注意しましょう。
診断方法
エアコンのコントロールパネルや操作スイッチ類のバックライトは、車幅灯(スモールライト)と連動して点灯します。少し暗いほうが確認しやすいため、夕方や夜間に停車した状態で確認しましょう。メーターパネルの警告灯は、イグニッション状態やエンジンスタート時に短い時間ですが搭載されているすべての警告灯が点灯するようになっています。取扱説明書を確認しながら、必要な警告灯が全て点灯しているか確認しましょう。
修理・改善方法
エアコンのコントロールパネルや操作スイッチのバックライト類も最近の車はLEDになり、埋め込み式が主流のためバルブ交換ではなく、スイッチASSYやパネルASSYの交換が多くなります。バルブが採用されている車ではバルブ交換によって改善します。警告灯が点灯しない場合は、対処法が原因によって異なるため、信頼できる整備工場にご相談ください。
④ エラーの有無チェック
原因
車の電気周りでチェックするべき項目にはエラーの有無や、センサーの異常の有無があります。搭載されている機能が正常に動作しているかや、異常を示すエラーが出ていないか、センサーの数値に異常が無いかなどの確認が必要です。
診断方法
エラーのチェックやセンサーの異常の確認には、診断ツールを車両に接続して確認する必要があります。エラーの有無はもちろんですが、エラー発生未満のセンサーの値がずれている状態が見つかる可能性もあります。ただし、これらの作業には専門の知識が必要なため、信頼できる整備工場に依頼しましょう。
修理・改善方法
エラーや異常が見つかった場合は、異常箇所の修理、交換を行うことで改善します。異常があった箇所によって修理内容や必要な作業は異なるため、費用や作業時間も故障内容に依存します。


