バッテリーランプ(充電警告灯)が点灯・点滅している原因と対処方法
トラブル症状
メーターパネルにバッテリーランプ(充電警告灯)が点灯したり、エンジン始動後しばらくしてもバッテリーランプが消灯しないという症状です。エンジン始動時にバッテリーランプが点灯し、数秒後に消えるのは点灯不良を起こしていないかのチェックのため、異常ではありません。
正常な状態であればエンジン始動後にバッテリーランプは消えますが、エンジン始動後にもバッテリーランプが点灯している場合は、バッテリーの充電ができていない状態を示しています。バッテリーの形状を模したランプのため、バッテリー異常と勘違いされやすいですが、正確にはオルタネーター(発電機)に異常が発生し、発電できていない状態です。また、本来は点灯するはずの警告灯が、Vベルトの緩みや端子(配線)の接触不良といった不安定な症状が発生した際にチラつくように点滅するケースもあります。
※ほとんどの車両では異常発生時に点灯するようになっていますが、一部の車種では異常時発生時に点滅する仕様になっている車種もあります。
バッテリーランプが点灯(点滅)した場合の対処方法
通常はオルタネーターで発電した電力と、バッテリーの電力の2系統で運転に必要な電力をまかなっていますが、オルタネーターが機能しなくなると、必要な電力はバッテリーのみでまかなっている状態となります。バッテリーランプが点灯したからといって、すぐにエンジンが停止するわけではありませんが、バッテリーの残量=エンジンが停止するまでの時間となります。
一般的には、バッテリーのみの電力で30分から1時間程度は運転が可能とされていますが、バッテリーのサイズ、劣化具合、日中か夜間か(ヘッドライトの点灯による影響)、エアコンの使用の有無、電装品の多さなどによって大きく左右されます。
応急処置的な対処法としては、エアコンやカーナビなど電装品をOFFにし、パワーウインドウやパワースライドドアは使用しないなど、極力電気を使用しないようにすることで、少しでも運転可能時間を引き延ばせる可能性があります。ただし、運転可能な時間を正確に判別する方法はありませんので、バッテリーランプが点灯した場合は安全な場所に停止し、すぐにレッカーや修理の依頼をすることをお勧めします。
考えられる原因と故障診断
① オルタネーターの故障
原因
発電機であるオルタネーターが故障し、発電されなくなったため電圧の異常を検知してバッテリーランプを点灯させています。オルタネーターは、回転によって交流を発電する発電部分と、交流を直流に変換する整流器、出力電圧をコントロールするレギュレーターなどから構成されており、どの部品に不具合が起きても正常な発電ができなくなります。
診断方法
オルタネーターの発電状態を確認するには、エンジン始動前と始動後の電圧の変化や、負荷時と無負荷時の発電電流量などを計測します。具体的には、エンジン停止時のバッテリー電圧を測定し(通常12V前後)、次にエンジン始動後のバッテリー電圧を測定します(正常であれば14V前後まで上昇)。さらに、電気負荷(ヘッドライトやエアコンなど)をかけた状態での電圧を測定します。また、電圧だけではなく、把握電流計などによる電流量の計測も必要です。オルタネーターに不具合がある場合はエラーや警告灯の点灯を伴うため、診断ツールを接続して確認することも有効です。この作業には専門的な知識と機器が必要となるため、専門の知識を持つ整備工場での診断をお勧めします。
修理・改善方法
オルタネーターの交換によって改善します。基本的にはASSY(アッセンブリー)での交換になりますが、部品の設定があり、不具合個所が特定されている場合には最小単位での修理が可能になる場合もあります。例えば、レギュレーターのみの故障であれば、レギュレーター単体での交換が可能な車種もあります。オルタネーターの交換には専門的な知識と工具が必要です。また、車種によっては作業が複雑になる場合があります。安全性と確実性を考慮し、専門の知識を持つ整備工場での修理をお勧めします。
② Vベルト(ファンベルト、ドライブベルト)の異常
原因
オルタネーターはエンジンの回転を利用して回転しています。エンジンの回転はベルトを介して伝えられていますが、ベルトが極端に緩んで滑ってしまったり、ベルトが切れて回転を伝えられなくなるとオルタネーターが正常に稼働できずに発電されず、バッテリーランプが点灯します。補器類を回転させるためのベルトは、Vベルト、ファンベルト、ドライブベルトなどメーカーなどによっていくつかの呼び名があります。
診断方法
ベルトの状態確認は、エンジンルームを開けてベルトの位置を特定することから始めます。ベルトの張り具合を確認し、適度な張りがあるかを見ます。また、ベルトの表面に亀裂や摩耗がないか目視で確認し、ベルトの破断や欠損がないかも確認します。ベルトが確認できる場合には張り具合を確認し、ベルトが破断して無くなっている場合には目視で確認が可能です。また、エンジン始動時に異音(キーキー音など)がする場合も、ベルトの異常を疑う必要があります。
注意: エンジンが熱い状態での確認は危険です。必ずエンジンが冷えた状態で作業を行ってください。
修理・改善方法
ベルトの状態に応じて対処を行います。ベルトの緩みが原因の場合は、ベルト調整にて改善します。調整方法は車種によって異なりますが、手動調整式の場合はオルタネーターの位置を動かしてベルトの張りを調整します。自動調整機構(ベルトテンショナー)がついている車種では張り具合の調整ができないため、ベルトテンショナーの交換が必要になります。ベルトが切れてしまっている場合は、新品のベルトに交換することで改善します。ベルトの交換や調整は、車種によって手順が異なる場合があります。また、ベルトの張りが適切でないと、オルタネーターの発電効率低下や早期故障の原因となります。正確な診断と適切な修理を行うため、専門の知識を持つ整備工場での点検・修理をお勧めします。