車から透明な液体が漏れている原因と対処方法

車から透明な液体が漏れている原因と対処方法

トラブル症状

アイドリング中や駐車場に停めた車から、透明な液体がぽたぽたと垂れている、または車の下に水たまりのようなシミができている症状です。エンジンオイルやミッションオイルなどのオイルが漏れている場合は茶色や黒っぽい色をしており、オイル特有の匂いもあります。また、オイル溜まりには水がかかると独特の虹色が浮かび上がるのが特徴です。冷却水の場合は、緑や赤(ピンク)、青などのうっすらとした色があり、微かに甘い匂いがします。

透明な液体が漏れている場合は、エアコン使用時に排出される水(ドレン排水)である可能性が高いです。もしエアコンのドレン以外から透明な液体が漏れている場合は、ブレーキフルードやウォッシャー液も考えられます。ブレーキフルードには独特の匂いがあり、水と混ざると白濁する特徴があるため、判断は難しくありません。

中村 武央 監修者
整備士 / テクニカルディレクター
中村 武央

兵庫県 猪名川町在住 1972年生まれ

2005年ラリージャパンではチーフメカニックとして活躍。プジョー、シトロエン、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなど、様々な欧州車メーカーの車両を数千台以上担当し、幅広い知識と技術を持つ。10代からクルマに興味を持ち、工業系大学卒業後、大手チューニングショップを経て1999年にワイエムワークスに入社。 …続きを読む

考えられる原因と故障診断

① エアコンのドレン排水が出ている

原因

高温多湿な環境でエアコンを使用すると、除湿によって集まった水分がドレンプラグから排出されます。そのため、長時間のアイドリングや走行後に停車した駐車場に透明な水たまりができることがありますが、これは異常ではありません。

診断方法

エアコン使用中や使用後に垂れる透明な液体は、排出される水分と考えて問題ありません。ただし、エアコンの使用に関係なく漏れている場合は他の原因が考えられるため、透明な液体が漏れるタイミングには注意が必要です。

修理・改善方法

異常ではないため処置は不要です。エアコンを使用する限り避けられない現象です。

② ウォッシャータンクの亀裂

原因

ウォッシャー液のタンクに亀裂や損傷が生じると、透明な液体(ウォッシャー液)が漏れる可能性があります。亀裂や損傷の原因としては、事故などの外的要因、経年劣化、気温低下による凍結などが考えられます。

診断方法

エアコンの使用やタイミングに関係なく液体が漏れる場合、ウォッシャー液が原因である可能性が高いです。また、ウォッシャータンクが空になると漏れが止まり、ウォッシャー液を出そうとしても出てきません。確認するには、ウォッシャータンクを目視でチェックする必要があります。

修理・改善方法

ウォッシャータンクを交換することで改善されます。

③ ブレーキフルードが漏れている

原因

ブレーキパイプやホースの亀裂や損傷、マスターシリンダー、ブレーキキャリパー、ホイールシリンダーからの漏れがあると、ブレーキフルードが漏れます。リザーブタンクが空になったり、ブレーキラインに空気が混入するとブレーキが効かなくなり、非常に危険です。このような場合は早急な修理が必要です。

診断方法

エアコンのドレン排水やウォッシャー液はほぼ無臭ですが、ブレーキフルードは特徴的な匂いがあるため「匂い」が判断の目安となります。また、リザーブタンクの容量が減少したり、ブレーキペダルの踏み込み量が深くなる、踏みごたえが軽く感じるなどの症状も確認ポイントです。ブレーキフルードは塗装を浸食するため、長期間付着した箇所の塗装がふやけたり、剥がれている場合はブレーキフルード漏れを疑うべきです。

修理・改善方法

ブレーキパイプやブレーキホースなど、漏れの原因となっている箇所の交換や、マスターシリンダー、キャリパーなどのオーバーホールが必要です。ブレーキの分解を伴う修理は特定整備(旧:分解整備)に該当するため、専門の整備工場で作業する必要があります。