クラッチを踏むと異音(キコキコ・キッキッ音)がする原因と対処法

トラブル症状
クラッチペダルを踏んだ際にキコキコやキッキッという異音が発生する症状です。多くの場合、ペダルの感触に違和感がないため、症状の初期段階では気付きにくいことがあります。クラッチペダルの動きはペダルからプレッシャープレートまで連動しているため、どの可動部から音が発生しているのかを確認する必要があります。
考えられる原因と故障診断
① クラッチペダルの可動部油切れ
原因
クラッチペダルのリターンスプリング取り付け部や、摺動部のグリスが切れることで異音が発生します。この場合は足元から音が聞こえるような感覚です。
診断方法
手でペダルを操作しながら、耳を近づけて音の発生箇所を確認します。
修理・改善方法
基本的には給油によって改善しますが、リターンスプリング取り付け部や摺動部が著しく摩耗している場合には、部品の交換が必要となります。
② レリーズレバー(レリーズベアリング含む)可動部の油切れ
原因
クラッチペダルの動きは、ワイヤーやフルードを経由して、レリーズレバー、レリーズベアリング、プレッシャープレートの順に伝えられます。これらの部品が連動して動く際に、可動部の油やグリスが切れていると異音が発生します。この場合は、エンジンルーム内や車体下部から音が反響しているように感じることが多くなります。
診断方法
車両をリフトアップし、他の作業者にクラッチ操作を行ってもらいながら異音を確認します。
修理・改善方法
レリーズレバーやレリーズベアリングなどへの給油で改善する可能性がありますが、ミッションを下す作業が必要となるため、クラッチのオーバーホールが推奨されます。
③ クラッチワイヤーの油切れ
原因
この症状は油圧式ではなく、ワイヤー式のクラッチで発生する可能性があります。クラッチワイヤーには防錆性と滑らかな動きを確保するため、グリスやオイルが塗布されています。しかし、経年劣化や湿気などにより徐々に油分が失われ、錆びが発生したり乾燥して滑らかな動きができなくなると、異音が発生することがあります。クラッチワイヤーの潤滑性が失われると、ペダルの操作が重くなったり、戻りが悪くなるなどの症状を併発する可能性もあります。
また、万が一クラッチワイヤーが切れてしまうと、クラッチ操作ができなくなるため、異常を感じたら早めに交換しましょう。
診断方法
レリーズレバー側のワイヤーの取り付けを外し、ペダルを動かしてワイヤーの動きや異音を確認します。
修理・改善方法
ワイヤーを一度取り外して給油することで改善する場合もありますが、油切れを起こすほど経年劣化したワイヤーは、安全性を考慮して交換することをお勧めします。
これらの症状が出た場合は、専門の知識を持つ整備工場での点検をお勧めします。早期発見・早期対応により、より深刻な故障を防ぐことができます。