エンジンやマフラーから異音がする原因と対処方法

トラブル症状
エンジンをかけると、カタカタ、カラカラと音がしたり、排気管からパンパンという乾いた音がする症状です。エンジンが温まると気にならなくなる場合や、温度に関係なく発生する場合など、様々な症状があります。
エンジンや排気管から異音がする場合は、必ず原因となる不具合が発生しています。放置することで症状が悪化し、エンジンブローや走行中にエンジンが焼きつく、燃費の低下や車両火災につながる可能性もあります。
遮熱板やカバー類の緩みなどが原因で、カタカタと振動する音やビビり音などが出ている場合は、多少走行していても大きなトラブルに発展する可能性は高くありません。
しかし、それ以外でエンジンから聞き慣れない異音がしている場合は、遠出や高速道路の走行などは避け、早急に点検に出すことをお勧めします。特に、エンジンからガラガラと回転に伴う異音が発生している場合は、緊急性が高い故障が発生している危険がありますので、至急専門の知識を持つ整備工場に連絡してください。
考えられる原因と故障診断
① ノッキング(サイドノック)
原因
ノッキングは早すぎたり遅すぎたりするタイミングで点火してしまう現象で、ピストンが異常な振動を起こしてエンジン内部からカタカタと音がします。類似の症状にサイドノックがありますが、サイドノックは点火タイミングのずれではなく、シリンダーやピストンが摩耗し、隙間が大きくなったことでピストンが左右に振れて異音が出る現象です。サイドノックもカタカタやガラガラという音が発生します。また、同じガソリンでもレギュラーとハイオクで燃え方やタイミングが違うため、給油する油種を間違えた場合もノッキングを起こす可能性があります。
診断方法
ノッキングの確認は「これ」という基準の設定が難しく、専門の知識を持つ整備士の経験によって異音の状態から判断します。エンジンの回転数の変化に併せて異音も変化するか、冷間時の方が異音が大きいかなど、様々な材料をもとに診断します。
修理・改善方法
点火時期の調整不良や不具合で起きているノッキングの場合は、それらを正しく調整することで改善が見込めます。エンジン内部の摩耗やピストンの摩耗などによるノッキングの場合は、エンジンのオーバーホールやシリンダー、ピストンの交換というかなり大規模な修理が必要となります。燃料を入れ間違えた場合は、タンクから燃料を抜き取る必要があります。
② ベアリングの損傷、劣化
原因
クランクシャフトベアリングやカムシャフトベアリングなど、エンジン内部にも様々な個所にベアリングが使用されています。このベアリングが劣化や摩耗などで異音が発生するようになると、エンジンが回転している間は異音が出続けます。異音の特徴としては「ガー」や「ゴー」、「ガラガラ」と聞こえることが多くなります。
診断方法
オルタネーターなどの補器類を駆動するベルトを外し、エンジン単体で回転させても異音が発生しているようであれば、エンジン本体からの異音の可能性が高くなります。
修理・改善方法
ノッキング同様、エンジンをおろしてオーバーホールが必要となります。
③ ガスケット不良
原因
マフラーとエキゾーストマニホールドの継ぎ目や、エキゾーストマニホールドとエンジンの継ぎ目には、排気漏れを防ぐためのガスケットという部品が挟み込まれています。このガスケットは基本的に再使用ができない部品となっており、マフラーなどを取り外した際は交換が必要になります。このガスケットが痩せてしまっていたり、熱による焼けや劣化などで機能しなくなると、異音と共に排気ガスが大気中に放出してしまうため修理が必要です。
診断方法
排気漏れが発生すると、「パチパチ」や「パンパン」という音が発生しますので、音の発生源を探します。マフラーの継ぎ目やエキゾーストマニホールドとエンジンの継ぎ目などを注意して確認しましょう。
修理・改善方法
ガスケット交換をすることで改善します。本来ガスケットは再使用ができないものですので、一度取り外した場合は交換が基本となります。
④ 配管の亀裂、損傷
原因
排気ガスが出始めるエキゾーストパイプからの異音の場合、パイプ自体に亀裂や損傷があり、そこから排気が漏れて異音がするというケースもあります。「パチパチ」や「パンパン」という音が発生し、エキゾーストマニホールド部分に亀裂が入った場合には火が漏れ出して車両火災につながる危険性もはらんでいます。
診断方法
排気漏れしている個所を目視で確認していきますが、溶接の継ぎ目や応力が集中するような個所を注意深く探していきます。
修理・改善方法
亀裂が入っている部品を交換することで改善しますが、亀裂が小さい場合や亀裂の個所によっては溶接で亀裂を埋める(繋げる)ことで改善する場合もあります。
⑤ 遮熱板やカバー類などの緩み
原因
エンジンルームの遮熱板やカバー類などの緩みや、ガタによって異音が発生している可能性があります。緩みやガタで異音が発生している場合は、特定の回転数で音が大きくなったり、停車寸前やアイドリング時に音が発生しやすいなどの特徴があります。
診断方法
音が大きくなるタイミングを割り出し、ボンネットを開けて音の発生源を突き止めます。
修理・改善方法
緩みの場合は締め付けることで改善します。割れや亀裂が原因の場合は、部品交換が必要です。