エンジンの調子が悪い原因と対処方法
トラブル症状
エンジンがブルブル震える、回転数が上がったり下がったりする、回転数が上がらない(下がらない)、加速時にもたつく、加速がワンテンポ遅れるなど、エンジン不調の症状も様々です。
不調の要因は多岐に渡りますが、悪化するとエンジンの始動が困難になったり、走行中にエンストを起こすようになるケースが多くなります。しかし、どの程度放置すれば悪化するかという明確な基準はなく、明日悪化するのか、一年後に悪化するのかは予測が困難です。 エンジンに関する問題は複雑で、誤った対処は車両に深刻なダメージを与える可能性があります。症状が見られた場合は、できるだけ早く認定整備工場での点検をお勧めします。また、定期的なメンテナンスを行うことで、多くの問題を未然に防ぐことができます。
考えられる原因と故障診断
① ISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)の故障
原因
アイドリングのスピードをコントロールする部品のため、回転数に関する症状が出やすいです。関連症状はエンジンがブルブル震える、回転数が上がったり下がったりする、エンストするなどです。
診断方法
ISCVにもいくつかの種類があり、種類により確認方法が異なります。ISCVのコネクターを外して回転数が変化するものや、端子間の抵抗を計測するもの、診断ツールを使用して判別するものなどがあります。また、詰まりが原因の場合は取り外して目視での確認が必要となります。
修理・改善方法
作動していない場合にはISCVの交換を行います。詰まりが原因の場合には一度ISCVを取り外して清掃が必要となります。
② IACバルブ(アイドルエアーコントロールバルブ)の故障
原因
アイドリング安定のため一時的に開閉する部品のため、アイドリングや回転数に関する症状が出やすいです。関連症状はエンジンがブルブル震える、回転数が上がったり下がったりする、エンストする、回転数が上がらない(下がらない)などです。
診断方法
全ての車両に装着されている部品ではなく、他の制御と併用されていたり、他の名称で同じような役割をしているケースもあります。点検方法は診断ツールを用いて作動の確認をしたり、コネクターを取り外して回転数の変化を見ることが可能なものがあります。
修理・改善方法
IACバルブ(又は同様の機能を持つバルブ)を交換することで改善します。ISCVと同じように、詰まりが原因の場合には取り外しての清掃が有効となります。
③ スロットルバルブの汚れや故障
原因
アクセルペダルの踏み込み具合に応じて空気の流入量を変える部品です。開閉部分と壁の間に汚れが詰まって空気の流れを阻害したり、アクセルの動きとの連動が遅れるなどの不具合があります。関連症状は、エンジンがブルブル震える、回転数が上がらない(下がらない)、加速時にもたつく、加速がワンテンポ遅れるなどです。
診断方法
スロットルバルブを動かすアクチュエーターやモーターに異常があればエラーが発生するため、診断ツールを使用してエラーの確認を行います。汚れが溜まっていないかなどは目視での確認が必要です。警告灯の点灯を伴う可能性もあります。
修理・改善方法
スロットルバルブの詰まりが原因の場合は清掃を行います。アクチュエータやモーターが故障している場合には交換が必要です。いずれの場合も、空気の流入量などに変化が生じるため、ECUの初期学習やスロットルバルブメモリのリセットなどが必要となります。
④ 点火プラグの劣化や故障
原因
燃料に点火するための部品です。劣化して火花が弱くなると、エンジンの出力低下につながります。関連症状は、エンジンのかかりが悪い、加速時にもたつく、加速がワンテンポ遅れるなどです。
診断方法
点火プラグをエンジンから取り外した状態で火花の飛び具合や色を確認します。正常な火花は青や白っぽく見えますが、劣化したプラグやイグニッションコイルに異常があると、オレンジ色の弱い火花となります。また、プラグの先端の摩耗具合や隙間の確認も必要です。
修理・改善方法
点火プラグの交換によって改善します。推奨:プラグの交換は全ての気筒で同時に行うことが重要です。
⑤ 燃料の質が悪い、燃料の種類を間違えた
原因
長期間保管された燃料を使用したり、指定された燃料以外を給油すると、その割合や種類によってエンジンが不調となったり、まったくかからなくなったりします。症状はエンジンがブルブル震える、回転数が上がらない、加速時にもたつく、エンストするなどがあります。
診断方法
混ざった燃料は見分けが難しいため、思い当たる節がある場合には燃料タンクの燃料を全て抜き取る必要があります。正しい燃料を入れてエンジンをかけ、正常に戻るかの診断となります。
修理・改善方法
正しい燃料に入れ替えることで改善します。タンクに錆びや水が発生している場合には、水抜きやタンクの交換が必要になる可能性もあります。
⑥ エアコンコンプレッサー、ウォーターポンプなどの補機類の異常
原因
エンジン回転によって回されている補機類が故障して、回転が異常に重くなるとエンジンの負担となります。関連症状はエンジンがブルブル震える、回転数が上がらない、加速時にもたつく、エンストするなどです。また、異音を伴うことが多くなります。
診断方法
各プーリーや補機類を駆動しているベルトを取り外し、手で回して確認します。引っ掛かりや異常な重さ、異常なガタがないかなどを点検します。アイドリング時や、特定の回転速度で異音が出やすいなどの症状が目安になることもあります。
修理・改善方法
不具合のある補機を交換することで改善します。
⑦ エンジンマウントの劣化
原因
エンジンとボディを連結しながら振動やショックを吸収するクッションであるエンジンマウントが劣化すると、振動が大きくなったり、加速がワンテンポ遅れてしまいます。
診断方法
エンジンルーム内部を目視で確認したり、車をリフトアップして車体の下側から目視にて確認します。ヒビ割れや欠けがある場合には交換が必要です。
修理・改善方法
エンジンマウントの交換によって改善します。エンジンマウントの交換は比較的容易に行える場合もありますが、分解整備となるため注意が必要です。
⑧ バッテリー電圧の低下、オルタネーターの不良
原因
点火や燃料の噴射など、電気制御の車を制御するための電圧が不足すると、エンジンの不調につながります。関連症状はエンジンがブルブル震える、エンストするなどです。
診断方法
オルタネーターの発電量をクランプメーター(把握電流計)などを使用して確認します。発電電圧は電圧計で確認が可能ですが、電流量の計測にはクランプメーターが必要です。また、著しく劣化したバッテリーはそれ自体が抵抗となってしまうため、エンジン始動後にバッテリーを切り離すと症状が無くなるというケースもあります。
修理・改善方法
バッテリー不良の場合はバッテリーの交換を行います。オルタネーターが不良の場合にはオルタネーターの交換を行います。オルタネーターは、発電機の部分と交流から直流に変換する整流器(レクティファイヤー)が一体となっているため、どちらかのみが壊れているケースがほとんどです。ただし、一体式での部品供給がほとんどのため、ASSY交換が一般的となります。