減速時にエンジンが止まる原因と対処方法

トラブル症状
アイドリングや加速時には特に違和感や異常はないのですが、減速して停車するとそのままエンジンも停止してしまうという症状です。毎回症状が発生するケースもあれば、気温やエンジン温度など特定の条件下で出やすくなる場合もあります。電子制御された現代の車両では正常な動作の場合もあり、キャブレター式の車両ではよくあるトラブルの一つです。
考えられる原因と故障診断
① アイドリングストップが働いている
原因
近年の車は排気ガスの排出を抑えたり、燃費の向上を図る目的でアイドリングを意図的に停止する「アイドリングストップ」という機能が多くの車種で採用されています。夏場のエアコン使用中や、冷間時の暖気を除き、基本的には減速して停車するとエンジンも止まります。その後、ブレーキペダルを離したり、アクセルを踏み込む動作でエンジンが始動する場合は故障ではありません。
診断方法
取扱説明書を確認し、アイドリングストップ機能やそれに準ずる機構が搭載されていないか確認します。
修理・改善方法
異常がない場合は処置の必要はありません。
② フューエルカットソレノイドの故障
原因
エンジンには減速時に燃料の供給を止め、燃費の向上や排気ガス低減を図るためのフューエルカットという機能があります。フューエルカットソレノイドという部品が動作することで、アクセルペダルを離して空走している間は燃料の噴射を止めますが、故障によって停車時まで噴射を止めたままとなるとエンジンが停止してしまいます。この場合、振動や一度キースイッチをOFFにすることで再びフューエルカットソレノイドが元の位置に戻り、エンジンの再始動が可能になる場合もあります。
診断方法
診断ツールの接続やエラーの確認、フューエルカットソレノイドの単体点検によって診断します。
修理・改善方法
フューエルカットソレノイドの交換によって改善します。
③ キャブレターの調整不良、詰まり
原因
キャブレターにはスロージェット、メインジェット、エアスクリュー、アイドルスクリューなど、調整が必要な項目がいくつもあります。さらに、複数キャブレターが搭載されている場合は各キャブレターの負圧や燃調を合わせる「同調」という作業も必要となります。メインジェット以外の項目に調整不良や詰まりなどがあると、低速時、アイドリング、減速時に影響が出てしまい、影響が大きい場合にはエンストに至るケースが多々あります。
診断方法
キャブレター車の場合、燃料系統の不良が疑われる場合はキャブレターの分解清掃が基本の作業となります。分解時に各ジェットの汚れや詰まり、フロートの引っ掛かりなどを確認します。
修理・改善方法
キャブレターが原因の場合はキャブレターのオーバーホールにて改善しますが、オーバーホール後はエンジンに合わせて「セッティング」という調整や同調が必要になります。この作業は現在の車のように診断ツールを繋げばできるというものではなく、一度組み上げてテストを行い、再び取り外して最適なジェットの選定や各スクリューの微調整、さらに負圧計を取り付けて各キャブレターの同調を取るなど、専門の知識を持つ整備工場での作業が必要となります。