ハンドブレーキ/パーキングブレーキが解除できない原因と対処法
トラブル症状
車を発進させようとハンドブレーキ/パーキングブレーキを操作しても解除ができない状態です。近年は電動パーキングブレーキも普及していますが、この記事では機械式のハンドブレーキ/パーキングブレーキについての内容となっています。ハンドブレーキ/パーキングブレーキが解除されないまま走行すると、リアブレーキが異常に過熱することとなり、ベーパーロックやフェード現象を引き起こすばかりでなく、最悪の場合タイヤが発火して車両火災に至る危険もあるため、至急修理が必要となります。
考えられる原因と故障診断
① ハンドブレーキ/パーキングブレーキワイヤーの固着
原因
ワイヤー式のハンドブレーキ/パーキングブレーキは、ワイヤー内部にサビが発生したり、汚れや埃などの異物によって動きが渋くなり、ハンドブレーキ/パーキングブレーキが解除できなくなる可能性があります。
診断方法
レバー式の場合は解除ボタンを押したままレバーを上下すると、ワイヤーが追従しないためレバーの動きや戻りが渋くなります。ペダル式の場合は一度ハンドブレーキ/パーキングブレーキをかけてペダルをロックします。もう一度踏み込むと解除となりますので、解除したままペダルを戻し切らないように押し引きすると、ロックをかけずにワイヤーを動かすことができます。これによって、ペダルの動きにワイヤーが追従するかの確認を行います。
修理・改善方法
ハンドブレーキ/パーキングブレーキワイヤーの交換によって改善します。ワイヤーの動きが渋いまま使用を続けたり、無理やりハンドブレーキ/パーキングブレーキをかけているとワイヤーに負担がかかり、ワイヤーが切れてしまう可能性がありますので、早めの処置が必要です。
② ハンドブレーキ/パーキングブレーキのロック機構（解除機構）が故障している
原因
レバー式の場合はレバー先端の解除ボタンが故障していたり、ペダル式の解除機構が故障していると、一度引っ張られたハンドブレーキ/パーキングブレーキワイヤーが解除できずハンドブレーキ/パーキングブレーキが解除できなくなってしまいます。
診断方法
解除ボタンの不具合や解除機構の不具合は、症状が発生したことで発覚するケースが多くなります。
修理・改善方法
動きが渋いだけの初期段階ではフットブレーキペダルを踏み込んでから解除操作をしたり、同じ動作を何度か繰り返すと解除可能な場合があります。ただし、あくまでも応急的な処置のため、基本的にはブレーキレバーやハンドブレーキ/パーキングブレーキペダルの交換が必要となります。
③ ライニングの張り付き
原因
雨や湿気などの水分によってライニングがドラムに張り付いた状態が長時間続くと、次にハンドブレーキ/パーキングブレーキを解除した際にライニングが固着して動かなくなっている場合があります。
診断方法
ライニングの貼り付きが起きると、レバー式ペダル式にかかわらずハンドブレーキ/パーキングブレーキに操作感がなくなります。また、ライニングがドラムに貼りついてしまっているため、車が微動だにしなくなります。
修理・改善方法
軽度の固着であれば何度か前後に走ろうとしたり、ハンドブレーキ/パーキングブレーキを操作していると解消されることがあります。それでも解除ができない場合は、タイヤを取り外してドラムに振動を与えたりするなどの作業が必要となります。
