ハイビームが点灯しない・切り替わらない原因と対処方法

トラブル症状
ロービームは点灯するが、ハイビームにすると点灯しなくなってしまう症状です。ハイビームは街灯の少ない場所や、山道などを走行する場合に欠かせない装置です。ハイビームは通常ライトコントロールレバーを前方に押し込んだり、手前に引いてパッシングなどで点灯させます。ただし、オートハイビームの機能が搭載されている車両ではオートハイビームがONになっていると、前方の車両の有無や走行状態に応じて自動的にハイビームがON/OFFする車両もあります。
真っ暗な夜道では、ハイビームの有無が走行中の安全性や危険予知に大きく影響を及ぼします。また、他の車両に対してパッシングで合図を出す用途にも使用されるため、早急に修理しましょう。
考えられる原因と故障診断
① ハイビーム用のバルブが切れている
原因
ハイビーム用のバルブが寿命を迎えて切れてしまった。近年ではロービームはHID式やLED式が主流となりつつある一方で、ハイビームはフィラメントを使用したハロゲン式のバルブが多く、経年劣化によるバルブ切れが発生します。両方同時にバルブ切れが起きるケースはかなり珍しく、ほとんどの場合片側ずつバルブ切れが発生します。ただし、片方が切れた状態では気がつかないことも多いため、残った側もバルブ切れが発生し、両方点灯しなくなった事で両側が同時にバルブ切れを起こしたと誤認する場合もあります。
診断方法
バルブを目視で確認し、フィラメントが切れているかどうかをチェックします。この時、ガラス部分には触れないよう注意が必要です。ガラス部分に素手で触れてしまうと皮脂や汚れが付着し、バルブの寿命が短くなる原因となります。
修理・改善方法
バルブが切れている場合は、新しいバルブに交換します。取り付けの際も、ガラス部分に触れないよう注意してください。
② ライトスイッチの故障
原因
ロービームとハイビームを切り替えるライトスイッチが故障して、ハイビームへの切り替えができていない可能性があります。
診断方法
ライトスイッチの動作を確認し、他のライト(ロービームやポジションランプ)が正常に動作するかどうかを確認します。ライトスイッチの故障によってハイビームが点灯しない場合は、メーターパネルのハイビームマークも点灯しなくなり、左右両側のハイビームが点灯しなくなります。
修理・改善方法
ライトスイッチが故障している場合は、ライトスイッチを交換します。
③ ヒューズの断線
原因
車種によってはロービームとハイビームにそれぞれヒューズが備えられており、ハイビーム用のヒューズが切れているとハイビームが点灯しなくなります。
診断方法
ヒューズボックスを開け、ハイビーム用のヒューズを確認します。ヒューズが切れている場合は、切れたヒューズを目視で確認できます。
修理・改善方法
ヒューズの断線には2種類あり、経年劣化や熱疲労によって切れるものと、本来の目的である過電流が発生した際に切れるものがあります。前者の場合は異常ではありませんので、断線したヒューズを新しいものに交換すれば改善しますが、後者の場合はヒューズが溶断するほどの過電流が流れる原因がありますので、配線の挟み込みによるショートなど原因を取り除いてからヒューズを交換する必要があります。
④ 配線やコネクターの異常
原因
配線の断線や、水の侵入などによってコネクターに異常が起きている可能性があります。
診断方法
配線やコネクターを目視で確認し、損傷や緩みがないかをチェックします。また、テスターを使用して通電しているかを確認します。
修理・改善方法
異常が見つかった場合は、損傷した配線やコネクターを修理または交換します。
⑤ オートハイビーム用のセンサーやカメラの故障
原因
オートハイビーム搭載車両はセンサーやカメラの映像などをもとにハイビームを自動的にON/OFFします。そのため、センサーやカメラに異常があるとハイビームも正しくコントロールできなくなってしまいます。
診断方法
診断ツールを接続して、エラーコードやセンサー、カメラの状態を確認します。また、センサーやカメラ部分に汚れや異物が付着していないかの確認も必要です。
修理・改善方法
汚れや異物が原因の場合は取り除き、センサーやカメラに異常がある場合は交換することで改善します。ただし、センサーやカメラの交換は特定整備に該当する可能性があるため、注意が必要です。