パワーステアリングフルードが茶色や黒色に濁っている原因と対処方法

トラブル症状
パワーステアリングフルードが茶色や黒く異常に濁って汚れているという症状です。油圧式のパワーステアリングはパワーステアリングフルードによって駆動されています。パワーステアリングフルードはパワステフルード、パワステオイルなどと呼ばれることもありますが、基本的には同じものを指します。メーカーによって赤、黄、緑などの色がありますが、いずれも新品時は透明感があり、使用とともに劣化して汚濁していきます。経年劣化するオイルですので定期交換が必要ですが、メーカーごとに3万km~6万km程度と推奨距離にばらつきがあります。
パワーステアリングフルードのリザーブタンクは、乳白色やクリーム色のタンクが使用されることが多く中身がうっすらと透けて見えます。そのため外側から内容量が確認できると思われがちですが、劣化したオイルの色がタンク内側に染みついてしまい実際の量とは異なるケースがあるため、キャップを開けて中身を確認する必要があります。
考えられる原因と故障診断
① 経年劣化
原因
定期交換が必要なパワーステアリングフルードの交換を怠り、長期間交換しなかったことで汚れが進行した可能性があります。
診断方法
前回の交換時期を確認し、パワーステアリングフルードの使用期間を推測します。
修理・改善方法
パワーステアリングフルードの交換によって改善しますが、一度の交換では綺麗にならない場合は数回交換する必要があります。
② 市街地走行などでハンドル操作が多い
原因
市街地走行が多くハンドル操作が多い場合は、油温が上がりやすくパワーステアリングフルードの劣化が進行しやすくなります。また、据え切りも同様に油温が高くなる原因となるため、据え切りが多い場合もパワーステアリングフルードの劣化が進行しやすくなります。
診断方法
問診によって普段の走行状態や使用状況を確認して推察します。
修理・改善方法
根本的な対策は難しいため、パワーステアリングフルードの交換サイクルを短くすることでコンディションを維持する必要があります。
③ レース走行などの高温環境で走行した
原因
レース走行などエンジンに負荷がかかる走行を行うと、エンジンルームや油脂類の温度が上昇して劣化を早める原因となります。
診断方法
問診によって普段の走行状態や使用状況を確認して推察します。
修理・改善方法
レース走行は消耗品の劣化が早まりますので、交換サイクルを早めるなどの対策が必要です。
④ 配管が腐食して錆びが出ている
原因
パワーステアリングフルードには防錆成分も含まれていますが、劣化によってこの機能が損なわれたり、配管が外側から腐食するなどが原因で配管に穴が開いてしまうことがあります。そこからフルードが漏れてしまうのと同時に、配管内に水分や錆びが混入します。その結果フルード全体に錆が混ざり、濁った茶色や黒に変色している可能性があります。また、フルード漏れが発生している場合はフルードの量が足りなくなるとパワステが効かなくなってしまうため早急に修理が必要です。
診断方法
リザーブタンクのフルードの汚れ具合や残量の確認を行います。パワーステアリングフルードは基本的に減少しないため、減っている場合は漏れが疑われます。
修理・改善方法
異常が発生している箇所を特定し、部品の交換を行ったうえでパワーステアリングフルードの交換を行います。汚れが取れにくい場合は何度もフルードを交換する必要があります。