並行輸入中古車 Vol.721|ランチア フルヴィア 1300S(Lancia Fulvia 1300S)1976|HF1600に連なるランチアの哲学が詰まった最終型、入門に最適|イギリス中古車販売

並行輸入中古車 Vol.720|ランチャ フルヴィア 1300S(Lancia Fulvia 1300S)1976

ランチア フルヴィア クーペは、1965年に登場したイタリアの名門ランチアを代表する傑作スポーツクーペです。フルヴィアは大きく分けて3つのシリーズ(S1、S2、S3)に分類されますが、個体は1976年式の「シリーズ3(S3)」で、フルヴィア・クーペの最終生産年度にあたります。1969年にランチアがフィアット傘下に入った後に開発が進められたモデルで、より実用性と信頼性が高められた完成形と言える一台です。

ランチャ フルヴィア 1300Sとは

「1300S」は、フルヴィア・クーペの標準的かつ最も普及したグレードです。1976年式の1300Sは、フルヴィアが持つ芸術的なメカニズムと、熟成された信頼性が同居した、クラシック・ランチア入門としても最適なモデル。その小排気量ながらも精緻に回るV4エンジンと、気品あるスタイリングは、現在のスポーツカーにはないイタリアン・エレガンスを体現しています。

外観:エクステリア

シリーズ3の特徴として、グリルやヘッドライト周りの枠がブラックアウトされている点(S2はクロームが多用されていた)が挙げられます。また、非常に細く繊細なピラーを持つ美しいルーフラインは、この車の時代を超えた魅力です。

内装:インテリア

ウッドパネルがあしらわれたダッシュボードに、円形のメーターが並ぶスポーティなデザインです。S3ではヘッドレストが標準装備されるなど、安全面も考慮されています。

搭載エンジンとスペック

最大の特徴は、ランチア独自の「狭角V型4気筒エンジン」をフロントに搭載し、前輪を駆動する(FF)点です。

エンジンは 1,298ccの狭角V4 DOHC。バンク角が11-13度と非常に小さいため、一見すると直列エンジンのようにコンパクトなシリンダーヘッドを持っています。エンジンは45度傾けて搭載され、低重心化に貢献しています。複雑な造形のヘッドカバーとキャブレターが並ぶエンジンルームは、当時のランチアらしい精密機械のような美しさがあります。

1300Sでは最高出力約90hpを発揮し、5速マニュアルトランスミッションが組み合わされています。

トリビア

1. 「なぜこんなに長いの?」魔法のシフトレバー

床からニョキッと生えた異様に長いシフトレバーが目に飛び込んできますよね。これには明確な理由があります。実はこのレバー、ミッション本体に直接突き刺さっています。リンケージ(連結棒)を介さないため、長い見た目に反して操作感は「カチッ、カチッ」と驚くほどダイレクトです。ハンドルから手を離してすぐにシフトに手が届くよう、あえてこの長さになっています。ラリーで培われた「一秒を削るための設計」が、この市販モデルの長いレバーにも息づいています。

2. 「ドッグレッグ」シフトの罠(1300Sの秘密)

多くのマニュアル車は左上が1速ですが、フルヴィアの5速モデル(シリーズ2以降)は 左下が1速の「ドッグレッグ(犬の足)パターン」 を採用しています。これは、走行中に頻繁に使う「2速⇔3速」を、レバーをまっすぐ上下させるだけで完結させるためです。これを知らずに普通の車のつもりで発進しようとすると、バックしたり2速発進になったりするので、オーナーだけの「儀式」のような楽しさがあります。

3. 三角窓の「クランク」が芸術品

この時代の車にはよくある三角窓ですが、フルヴィアのそれは少し特別です。多くの車は手で直接押し開けますが、フルヴィア(特に上級グレードの流れを汲むもの)は、ダッシュボード横の小さな回転式ハンドル(クランク)を回して開閉します。この「チキチキ」という精緻な作動音と感触は、当時のランチアが「小さな高級車」であったことを最も実感させてくれる部分です。

4. V4エンジンなのに「シングルヘッド」

「V型エンジン」と聞くと、左右に分かれた2つのシリンダーヘッドを想像しませんか?しかし、フルヴィアのV4は、バンク角が11度から13度と極端に狭いため、4気筒分がひとつの巨大なシリンダーヘッドに収まっています。 V型エンジンの「コンパクトさ」と、直列エンジンの「部品点数の少なさ(シンプルさ)」の良いとこ取りをしています。これこそがランチア技術陣がこだわった「知的な解決策」でした。

5. 驚異の「4輪ディスクブレーキ」

1960年代〜70年代前半、同クラスの他車がまだリアにドラムブレーキを使っていた時代、フルヴィアは全車標準で4輪ディスクブレーキを採用していました。しかも、ランチア独自の「スーパー・デュプレックス」という、万が一片方の系統が壊れても前輪の制動力を維持する高度な2系統ブレーキシステムを組んでいました。


RHDモデルは「通」の証

イギリスや日本のような左側通行の国でフルヴィアのRHDに乗ることには、いくつか面白い視点があります。

  • 当時のランチアの哲学: かつてイタリア車(特にランチアのような高級車)は、「アルプス越えの崖道で路肩を確認しやすいように」あえて右ハンドルで作られていた歴史があります。そのため、ランチアにとってRHDは「格下の輸出仕様」ではなく、むしろ「ドライバーズカーとしての正統な選択」というニュアンスが残っていました。
  • ペダルレイアウトの懸念: 多くの欧州車はRHD化するとタイヤハウスの関係でペダルが左にオフセットされがちですが、フルヴィアはもともと狭いV4を傾けて積んでいるため、足元のスペースに比較的余裕があり、RHDでも違和感が少ないと言われています。
  • 希少性と実用性: 日本で乗るなら、追い越しや右折時の視界の良さは圧倒的なメリットです。特にこの時代の車は現代車より一回り小さいので、RHDだと日本のタイトな峠道での「寄せ」が非常に楽になります。

「左ハンドルこそがオリジナル」という拘りも素敵ですが、ランチアの歴史的背景を考えると、「あえて右ハンドルでイタリアンの精密機械を操る」というのは、非常に理にかなった、粋な選択でしょう。「最も洗練された最終型」を「最も実用的なRHD」で乗るというのは、「この車を飾るだけでなく、日常的に使い倒す」という知的なオーナーの姿勢が透けて見えて非常にカッコいいと思います。

車両個体情報

ご紹介しているのは英国ロンドン近郊で販売されている、1976年式 ランチア フルヴィア クーペ 1300S、右ハンドルの5MT車。イメージカラーであるイタリアンレッドを纏った、内外装のコンディションが良好な個体です。

1. エンジンルームの「真実」:美しさと実用のバランス

エンジンルームは、非常に「健康的」な印象です。

  • キャブレターの存在感: Solex製のツインチョーク・キャブレターが2基並んでいます。エアクリーナーボックス(黒い大きな箱)もオリジナルの形状を保っています。
  • 整備性: バッテリーやブレーキマスターシリンダーへのアクセスが良く、日常的なメンテナンスがしやすい状態に見受けられます。
  • 狭角V4の造形: 斜めにマウントされたエンジンヘッドの「Lancia」ロゴが誇らしげです。この角度こそが、低いボンネットラインを実現する鍵でした。

2. シリーズ3特有の「黒」の使い分け

外装写真からはシリーズ3ならではの意匠がよく分かります。

  • グリルのブラックアウト: シリーズ2まではメッキだったグリルが黒の樹脂製になっています。これは1970年代中盤のトレンドを反映したもので、精悍な顔つきになっています。
  • ラバー付きバンパー: バンパーに黒いラバーのストリップが入っているのもこの世代の特徴です。

3. 内装(RHD)のディテール:ランチアの品格

インテリアは、この車の最大の魅力かもしれません。写真では非常に良好な状態に見えます。

  • ウッドパネルの状態: ダッシュボードのウッドは非常に明るい色味で、黒い内装とのコントラストが美しいです。左側の「Fulvia」のスクリプトバッジも綺麗に残っています。
  • シートとヘッドレスト: シリーズ3で標準化されたヘッドレスト付きシートは、長距離ドライブでの疲労を劇的に軽減します。リアシートもバケット形状になっており、4座(2+2)としての矜持を感じます。
  • ルーフライニング: 天張りの「穴あき(パンチング)ビニール」は当時のランチアの定番です。ここが垂れずにピンと張っているのは、保管状態が良かった、あるいは適切に補修されていると言えるでしょう。

4. 足回りとボディライン

ボディの「チリ(パネルの隙間)」や塗装の質感が伝わります。

  • ホイール: オリジナルのスチールホイールにランチアのロゴ入りセンターキャップ。あえてアルミに変えず、この鉄チンホイールで乗るのが、今のクラシックカー界では「通」とされています。
  • 美しいプレスライン: リアフェンダーからテールにかけての繊細なラインに大きな修復跡や歪みが見られないのは、この個体の大きな加点ポイントです。

この個体への「見解」

この1976年式フルヴィアは、「オリジナリティを尊重しつつ、しっかり走らせてきた車」あるいは「オリジナリティを意識しつつ、適度にレストアした車」という感じがします。RHDであることも含め、英国や日本のような環境で「クラシック・ランチアのある生活」を始めるには、現実的で魅力的な選択肢に見えます。

特にエンジンルームの「使い込まれているが清潔」な状態は、機関系の調子の良さを予感させます。この「ドッグレッグ5速」を駆使して、V4サウンドを響かせながらカントリーロードを走る自分を想像してみてください……最高だと思いませんか?

あとは、「下回りのサビの状態(特にサブフレームの取付部)」「過去の整備記録」のチェックでしょうか。

車両基本情報

モデルランチア フルヴィア クーペ 1300S シリーズ3
年式1976年
寸法全長:3,975mm、全幅:1,555mm、全高:1,300mm(参考値)
ホイールベース2,330mm
車重970kg(参考値)
エンジン1,298cc V4 DOHC
最高出力/最大トルク約90HP/-
駆動方式前輪駆動(FF)
ハンドル位置右ハンドル
ミッション5速マニュアル
外装色レッド
走行距離不明
所在英国ロンドン近郊

※スペックは仕向地・仕様、諸説あるので参考程度にお考え下さい。
※排気量・諸元は現地表記に基づく案内です。実測・書類上の数値は到着後に確定します。

画像ギャラリー

乗り出し価格(大阪店頭渡し) 5,601,798円

※多少の補修、整備は必要なクラシックカーです。クラシック車の特性上、点火系・燃料系・ブレーキ系などの予防整備を推奨します。ワイエムワークスなりの評価・判断に基づく加修・調整作業とお客様希望を勘案して価格は決定したいと考えています。ご希望の予算・納期・用途(イベント/普段使い/コレクション等)を伺い、最適な整備メニューと輸入プランをご提案します。当社サービス工場にて消耗品交換・各部調整・改善作業・車検・板金塗装まで一貫対応可能です。
なお、車両によっては、クーラー、パワステ等の加工装着が可能な場合もあります。ご希望の方はご相談ください。

◎日本国内乗り出し価格(ヨーロッパ・北米のディーラーよりの回送費用、神戸港までの輸送費用、積降のデバン費用、国内での通関費用、車検に纏わる整備費用、登録諸費用等を含めた大阪店頭渡しの価格です。国内各地への配送は別途承ります。)
◎ワイエムワークスで販売する中古車には、車検整備相当の24か月点検整備、エンジンオイルをはじめとする全油脂類、フルード、クーラントの交換をお付けしています。
◎その他の消耗品(ブレーキパッド、バッテリー、タイヤ等)の交換は有償でお受けしています。ご希望の作業がある方はお申し出ください。

u721 ランチア フルヴィア 1300Sについて」とお伝えください。

参本内容は現地情報に基づく暫定案内です。日本到着後の点検結果により記載と異なる場合があります。

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