エンジン始動時の異音（キュルキュル音）がする原因と対処法
トラブル症状
エンジンをかけると「キュルキュル」や「ギャー」という音がする、いわゆるベルト鳴きが発生するという症状です。エアコン使用時だけ鳴る場合や、エンジンが暖まると音が消えるケースなどもあります。
エンジンが暖まると音が消える場合や、雨が降った時だけ音がする場合は、直ちに重大なトラブルへ発展する可能性は低いものの、ベルトの劣化や緩みが原因であることが多いため、早めの点検が推奨されます。
一方、エンジンをかけるたびに常に音がしている場合や、「ガラガラ」や「ゴー」といった金属音が伴う場合は、早急な点検が必要です。これらの音はベルトの緩みだけでなく、オルタネーターやウォーターポンプなどの補器類に損傷がある可能性があり、放置するとエンジンや車両全体に重大な損傷を及ぼすことがあります。
考えられる原因と故障診断
① Vベルト（ファンベルト）の過度な緩み
原因
Vベルトはクランクプーリーの回転をオルタネーターやコンプレッサーなどの補器類に伝える役割を持つゴム製の部品です。使用するうちにゴムが伸びてベルトの張りが緩み、補器類の抵抗に負けて滑るようになります。金属のプーリー上をゴム製のベルトが急速に動くことで、「キュルキュル」や「ギャー」という音が発生します。
診断方法
ベルトを手で触り、張り具合を確認します。張り具合には適正値があり、強すぎると補器類の破損につながり、弱すぎると滑りの原因となります。オートテンショナーが装備されている場合は、その状態も確認が必要です。
修理・改善方法
ベルトが伸びている場合は新しいベルトに交換し、張りを調整します。オートテンショナーが故障している場合は、テンショナーの交換が必要です。
② Vベルトの劣化
原因
ゴム製のVベルトは経年劣化により柔軟性が失われ、硬化すると摩擦抵抗が減少し滑りが発生します。この滑りが「キュルキュル」という音を引き起こします。
診断方法
ベルトの表面を確認し、亀裂やひび割れがある場合は劣化が進行している可能性があります。
修理・改善方法
ベルトを交換することで改善します。Vベルトには適切な張りが必要で、オートテンショナーによる自動調整タイプや手動での調整タイプがあります。適切な張りを確保するため、専門の整備工場での作業をお勧めします。
③ 雨や湿気、低温時の摩擦低下
原因
雨の日や湿度が高い環境では、水分や結露が摩擦を低下させ、異音が発生することがあります。また、低温時にはベルトが硬化し、一時的に摩擦抵抗が減少することで「キュルキュル」と音がする場合があります。時間が経つと音が消える場合は自然な現象である可能性が高いです。
診断方法
特定の条件下で小さな音が発生する場合、湿度や温度の影響が原因と考えられます。
修理・改善方法
異常が無い場合は特に処置は不要ですが、ベルト鳴き軽減スプレーを使用することで音が改善される場合もあります。
④ 補器類の異常
原因
Vベルトによって駆動されるオルタネーター、ウォーターポンプ、コンプレッサー、パワステポンプなどのベアリングがガタついたり、内部に不良がある場合、「ガラガラ」や「ゴー」といった音が発生します。このような異音を放置すると症状が悪化し、走行不能に陥る可能性もあります。
診断方法
エンジンを停止し、ベルトを外して各補器類を手で回して確認します。異常に重かったり引っ掛かりがある場合は故障の可能性があります。
修理・改善方法
異常が認められる補器類を交換することで改善します。
